裁判官増員の必要性に対する一部の否定的な見方に対し、韓国最高裁が「韓国の裁判官1人当たりの事件数が他の先進国に比べて過多だ」とし、「これは、裁判官の繰り返される過労死につながっている」と反論した。
最高裁は23日、「各国における裁判官の業務量比較と韓国の裁判官の過労現況」を通して「韓国の裁判官1人当たりの事件数は民事および刑事本案に限って算定した場合、ドイツの5.17倍、フランスの2.36倍、日本の3.05倍に達する」とし、「その他に本案事件、非訟事件数を追加すれば、はるかに多くの事件を担当している」と明らかにした。
最高裁が公開した資料によると、2019年の民事・刑事本案受付事件を基準にした韓国の裁判官1人当たりの事件数は464.07件で、ドイツ(89.63件)、日本(151.79件)、フランス(196.52件)を大きく上回る。
裁判官数を見ると、韓国は2966人でドイツ(2万3835人)、フランス(7427人)に比べてはるかに少なく、日本(3881人)よりも約900人少ない水準だ。
日本の場合、人口が韓国の2.5倍水準であることを考慮すれば、裁判官1人当たりの人口数は韓国より多い。しかし、日本の場合、民事・刑事本案の受付事件が韓国(137万6438件)に比べて半分以下の58万9106件に過ぎず、裁判官1人当たりの事件数ははるかに少ない。
◇事件処理数が日本水準になるためには裁判官数を3倍に増やすべき
裁判所は、韓国の裁判官たちの事件処理数がドイツ水準になるためには裁判官数が1万5356人、フランス水準になるためには7004人、日本水準になるためには9068人まで増加しなければならないと指摘した。
裁判官たちの過度な業務負担が事件処理の遅れや心理的低迷へとつながりかねないという指摘も出ている。裁判官たちが事件の停滞を懸念して処理に重点を置くせいで、新しい法理研究に対する時間が不足するなど、多くの否定的な効果につながっているという指摘だ。
さらに、このような殺人的な業務量は、裁判官たちの相次ぐ過労死の原因になっている。この10年間で過労死と推定される裁判官の死亡は5件だった。
とある裁判官出身の弁護士は「1人の裁判官が数十件の裁判を同時に進めている」とし、「裁判官の人員補充にほど遠い現在の構造では、結局、裁判官たちが殺人的な業務量をこなして裁判の遅延を防いでいるのが現実」と指摘した。
裁判官たちも過重な業務による困難を訴えている。最高裁判所が実施したアンケート調査で、平均勤務時間が週52時間を超過するという回答は48%だった。月1回以上の週末勤務の割合は59.5%で、月3回以上週末に勤務するという裁判官の割合も24.3%にのぼった。
◇10年間で過労死した裁判官が5人…裁判官の過半数が「バーンアウト」を経験
裁判官の65%が職務遂行によって健康に影響を受けると答え、バーンアウトの経験があると答えた裁判官も52%だった。このような状況のため、89%の裁判官が「増員の必要性に同意する」と答えた。
これに先立ち、韓国・全国裁判官代表会議は今年7月、「裁判官及び裁判研究員の増員などを含む実質的な対策を早急に論議することを求める」という内容の裁判官不足問題解決のための決議案を可決した。
当時、裁判官代表会議は「主要先進国に比べて裁判官1人当たりの事件数が多すぎるうえ、迅速な裁判が阻害され、訴訟法が定めた公判中心主義と口述審議主義の実現が難しい状況が長期間続いている」と指摘した。
続いて「法曹一元化を施行したことで自然に裁判官の平均年齢が急激に高くなるなど、裁判所の人材構造が変わっている」とし、「経歴のある法曹人の裁判官支援が十分でない状況が続いており、裁判官の人材不足はさらに深刻になる」と懸念した。
裁判所外部の見解も大きく変わらなかった。大韓弁護士協会が所属弁護士を対象に実施したアンケートで、94%が裁判官増員の必要性に同意した。
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