戦犯企業側の代理に乗り出した大手法律事務所、裁判の戦略は?(画像提供:wowkorea)
戦犯企業側の代理に乗り出した大手法律事務所、裁判の戦略は?(画像提供:wowkorea)

 日本植民地時代の強制徴用による被害者らが日本の戦犯企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の1審判決が今月10日に予定されている中、これを含む類似の事件で韓国の大手法律事務所が戦犯企業側の代理人として裁判遅延戦略を展開しており、ひんしゅくを買っている。

 裁判所によると、ソン某さんら85人の強制徴用被害者および遺族が日本製鉄、日産化学、三菱重工業、住石ホールディングスなど日本企業16社を相手取って起こした損害賠償訴訟で、韓国国内三大法律事務所と呼ばれる金・張法律事務所(Kim &Chang)と法務法人 太平洋(BKL, Bae, Kim & Lee)、 法務法人 広場(Lee &Ko)が被告代理人に選任された。

 金・張所属の弁護士11人は日産化学や三菱重工業、日本製鉄など10社の代理をしており、太平洋は山口合同ガスの代理を務めている。広場も住石ホールディングスなどの被告代理を務めている。法務法人ドゥレ(Doore)でも10人あまりの弁護士が三菱興業の代理をしている。

 これらの法律事務所はこの他にも数件の損害賠償訴訟が提起された日本製鉄や三菱などの代理を務めている。最近、再開された裁判で代理人たちのそれぞれ異なる裁判の遅延戦略が明らかになり、批判を受けたりもした。

 日本製鉄を代理する金・張は被害者の死亡日付けが書類上の死亡日付けと異なることを指摘するなど、死亡・相続と関連した正確な事実関係の確認を要求した。これについて、原告側は「あまりにも昔の記録なので記録が不正確で不十分な側面があるが、被告側は現在、事件を見るかのように攻撃している」と述べた。

 金・張の場合、先に提起された強制徴用訴訟でも日本製鉄を代理したハン・サンホ弁護士が裁判が進行する過程で当時のヤン・スンテ最高裁長官に単独面談した事実が明らかになり、癒着疑惑が提起された。

 三菱重工業も裁判遅延戦略を繰り広げているのは同様だ。原告側が2019年に訴状を裁判所に提出したにもかかわらず、訴状送達を受け付けない方法で2年間ほど対応してこなかったが、公示送達で判決宣告期日が決定されると、最近になって金・張を代理人に選任した。金・張は「被告が外国企業であるため、意見書を検討し、作成する過程で翻訳が必要だ」とし、裁判の期日を延期してほしいと要請した。

 数十年間、強制徴用被害者の補償問題解決のために活動してきた法務法人サムイル(SAMIL LAW PROFESSIONAL CORPORATION)のチェ・ボンテ弁護士は「これ以上遅延戦略に振り回されるのではなく、(韓国)外交部が日本に求償権を請求するなど、政府レベルでの法律的な対応が必要だ」と助言した。

 被告代理人らの裁判遅延戦略にもかかわらず、今月10日に行われる損害賠償判決について、法曹界では原告勝訴の可能性が高いと見ている。チェ弁護士は「原告勝訴と判断した最高裁確定判決があるため、被害が立証された原告に対しては勝訴が有力だ」と見通した。

 セソル法律事務所のチョン・ボムジン弁護士も「強制徴用被害者たちが実際に強制徴用されたかが重要だが、訴状に提出された資料だけで裁判部が強制徴用の事実関係を認めるかどうかが裁判の争点」とし、「最初の裁判で弁論を終えただけに、事実関係を認め、勝訴判決をするものと予測される」と解釈した。

 該当の裁判を審理するソウル中央地裁民事合意34部(キム・ヤンホ裁判長)は先月28日、最初の裁判を開いた。この日、裁判部はすでに最高裁で関連事件と法理が整理されたという立場を明らかにし、すぐに今月10日を宣告期日に決めた。

 これに先立って、韓国最高裁判所の全員合議体は、2018年にイ・チュンシク氏らが日本製鉄を相手取って起こした損害賠償訴訟の上告審で原告勝訴判決を言い渡した原審を確定させた。一審と二審が原告敗訴の判断を下したにもかかわらず、大法院は日本製鉄に賠償責任があるとして原審を破棄し、差し戻し審と再上告審で原告勝訴の判断が下された。

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