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米朝の初首脳会談から2年 関係は行き詰ったまま
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)とトランプ米大統領がシンガポールで歴史的な初対面を果たしてから丸2年を迎えようとしている。世界中の関心が集まる中で両首脳が約束した朝鮮半島の非核化と平和体制の構築、両国関係の改善への道のりはいまだ遠く、米朝間の対話は昨年2月にベトナムでの2回目の会談が物別れに終わって以降、膠着(こうちゃく)状態が続く。米国は今年11月に大統領選を控えている上、新型コロナウイルスへの対応に追われるなど、目の前の懸案に集中しており、北朝鮮も再選を目指すトランプ氏との間で関係改善への対話に執着する様子は見せていない。当面、突破口を開くことは容易でなさそうだ。 2018年6月12日、シンガポールでの米朝首脳の初会談は、米朝の70年の敵対関係を終わらせて朝鮮半島に平和の新時代を開くという期待感を高めた。両首脳は米朝の新たな関係の構築や朝鮮半島の平和体制構築、朝鮮半島の完全な非核化、米兵の遺骨返還などを明記した共同声明に署名。朝鮮半島の難題だった北朝鮮核問題がついに解決への糸口をつかんだかのように見えた。 ところが19年2月にベトナム・ハノイで開催された2回目の会談で、非核化と北朝鮮制裁緩和を巡る溝が依然として深いことが浮き彫りになった。 交渉決裂に失望した金委員長は2カ月後の施政演説で、年末を期限として、米国に「新たな計算法」を迫った。これに米国は、北朝鮮を満足させる答えを示さなかった。 19年6月30日、米朝首脳と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は劇的に南北軍事境界線がある板門店で顔をそろえてみせた。これにより米朝対話へ弾みがつくと期待されたが、10月のスウェーデン・ストックホルムでの米朝実務交渉は合意に至らず、その後、対話は行われていない。 今年、金委員長は「新年の辞」を発表しなかった。代わりに党中央委員会総会の報告で、「米国が対朝鮮(北朝鮮)敵視政策をあくまで貫くのなら、朝鮮半島の非核化は永遠にない」と述べ、「衝撃的な実際の行動」と「新たな戦略兵器」を予告した。総会では、米国の制裁に屈せず自力更生と国防力強化で難関を乗り越えるという「正面突破戦」が新路線に掲げられた。 米国との対話の余地を残しつつ、自衛的な国防力強化を名分として米国の「レッドライン(越えてはならない一線)」に詰め寄り、対話より圧力に重点を置くといった様相だ。 期待を抱かせてきた金委員長とトランプ氏の個人的な親交も、以前ほどではないとされる。北朝鮮は米国を非難しながらも両首脳の親交を強調してきたが、最近では「朝米(米朝)首脳間の関係は余談として気ままに持ち出す話題では決してなく、ましてや利己的な目的に利用してはならない」(外務省対外報道室長の談話)と、トランプ氏が政治的に利用しようとしているとの不満をあらわにしている。金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長も3月22日の談話で、「(両首脳の)親交が両国の関係発展の構図をどれほど変え、けん引していくかは未知数」と言及した。 米大統領選を控える中、双方ともに交渉に乗り出す雰囲気ではない。トランプ氏は新型コロナウイルスへの不十分な対応と人種差別に反対する抗議デモのために支持率が下がっており、再選が危ぶまれるとの声もある。国外の問題に目を向ける余裕はない。北朝鮮政策は大統領選の目玉ではないだけに、北朝鮮との実質的な関係改善に取り組むよりも、北朝鮮との関係においてこれまでアピールしてきた成果が無駄にならないようリスク管理に重きを置くとみられる。 北朝鮮としてもトランプ氏の再選が不透明な状況では、連続性が担保されない交渉に飛びつく理由がない。最近の世論調査の予想通り、民主党のバイデン前副大統領が次期大統領に就く場合、米朝交渉が振り出しに戻る可能性もあるためだ。バイデン氏はトランプ氏の「前提なき」米朝首脳会談を批判してきた。民主党の長年の政策に従い、北朝鮮が敏感に反応する人権問題を取り上げる可能性もある。 よって、米朝間の意味ある対話は、大統領選を終えて米国内の政治的状況がある程度落ち着いて以降のことになりそうだ。 外交筋は「今のところ米国も北の問題に神経を使う余力がなく、北も米大統領選の結果が出るまで動かない可能性が高い。今年は対話に推進力を見いだすのはたやすくない」と述べた。