文大統領が同日午前、ソウル鍾路区培化女子高で開かれた「第101周年3・1節記念式典」で述べた祝辞は、これまでの3・1節とは異なり、新型コロナウイルスの危機に対する「国難克服の意志」が主な内容となっていた。
特に北朝鮮に向けては、「北朝鮮と保健分野での協力を望む」とし、「人と家畜の感染症拡散に南北がともに対応して境界線地域の災害災難と朝鮮半島の気候変動に共同で対処するとき、私たち民族の人生はより安全なものになるだろう」と強調した。
現在、北朝鮮で新型コロナウイルスの確定判定者が発生したという一部の報道はあるが、公式には一人も発生していない状況である。世界保健機関(WHO)なども北朝鮮内で確定判定者が発生したという報告は今のところないと繰り返し伝えている。
しかし、金正恩国務委員長が党中央委員会、政治局拡大会議を開き、新型コロナウイルスに対する防疫対策を直接取り仕切るほど、北朝鮮は感染症の流入に敏感になっている状況だ。
国際的団体も北朝鮮内の新型コロナウイルス拡散を懸念している。国連の安全保障理事会、北朝鮮制裁委員会が先月25日、国際赤十字連盟(IFRC)の新型コロナウイルスに関連した物品に対する北朝鮮への制裁をはじめて免除承認してからは、国境なき医師団の関連申請を承認している。
この日、文大統領が述べた南北防疫協力の提案は、新型コロナウイルスの共同対応で朝鮮半島全域に感染症が拡散されることを先制的に遮断し、これにより南北対話の糸口をつかむという意志が見られる。
ただし、統一部は、今のところ南北防疫協力が進んでいるという状況はなく、国際機関や民間団体から関連要請があるときは、「協議して公開する」という立場を示した。
専門家は、過去東西ドイツの場合、冷戦中であった1973年の伝染病、洪水などの災害に包括的に対応する「災害共同対応協定」を締結した事例があるとし、伝染病と水害のような災害は、朝鮮半島全体の問題であるため、南北が共同でリスクを軽減していく必要性があると強調した。
文大統領はこの日の演説で、今の日韓関係を危機的状況と定めて、日本に向けて「危機克服と未来志向的な協力」を強調した。
文大統領は「過去を直視することができれば傷を克服することができ、将来に向かって進むことができる。過去を忘れることなく、そして私たちは過去にとどまらない」とし、「日本もそのような姿勢を持ってほしい」と語った。また、「ともにこの危機を乗り越え、未来志向的な協力関係のために一緒に努力しよう」と強調した。
文大統領のこのような発言は、強制徴用賠償判決で触発された輸出規制、日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)終了猶予と福島原子力発電所などにより冷戦だけを重ねている今の日韓関係の危機的状況を克服しなければならないという考えとして解釈される。
しかし、両国が今後新型コロナウイルス対応の過程で、お互い「過敏な対応」は自制し、協力する部分は協力するような知恵が必要だという指摘が出ている。
これに関連し、日本政府が28日、韓国全域に「旅行自制」の警告を実施したのに続き、韓国外交部(日本の外務省に相当)も29日、日本全域に同様の水準である「旅行注意」措置を出した。これは、自国民保護のために適切な措置だったという評価はあるが、今後「過敏な対応」はこれ以上しないように、両国政府が留意する必要があるという指摘もあがっている。
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