また、原告の代理人を含む韓日の弁護士らが設置を提案する徴用問題解決に向けた両国合同の協議体について「(韓国)政府は協議体に参加する意向もある」とし、「韓国が提示した解決策だけが唯一のものとは思っていない。日本側が修正意見を出し、知恵を集めていけば十分に解決の余地がある」と述べた。
その上で韓国大法院(最高裁)の賠償命令を受け、韓国内にある日本企業の資産の売却手続きが進められていることにも言及。解決のための時間は多くないため、解決に向け韓日間の対話が早急に行われるべきとの見解を示した。
韓日関係については、強制徴用と輸出規制の問題を除けば良好と話した。韓国は日本を最も近い隣国と考えており、両国関係を未来志向的に発展させていく確固たる意思を持っていると述べた。
東京五輪の成功に向けては積極的に協力する意向を示し、平昌冬季五輪の開会式に安倍晋三首相が出席したように、東京五輪に韓国から高位級代表が出席するだろうと説明した。文大統領は同五輪が両国関係を根本的に解決するきっかけになることに期待を示した。
政権の重要課題として掲げる検察改革に関しては、検察自らが主体という認識を持ってこそ可能であり、検事総長が先頭に立ってはじめて捜査慣行だけではなく、組織文化の変化までもが可能になると強調。「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が検察組織文化改善の先頭に立てば、さらなる信頼を受けると思う」として、「(尹総長は)厳正な捜査、権力にも屈しない捜査、こういう側面からはすでに国民から信頼を受けている」と述べた。
検察の人事を巡る青瓦台と検察の対立で尹総長の去就に関心が集まる中、尹総長への信頼を表明し、検察改革に積極的に乗り出すよう促した発言とみられる。
文大統領が検察改革のため任命したが、娘の不正入学や家族ぐるみの不透明な投資などの疑惑が浮上して辞任した側近のチョ国(チョ・グク)前法務部長官にも触れ、「検察改革に対する寄与が非常に大きい」とし、「チョ前長官がこれまで受けた苦痛だけでも(チョ氏に)大きな心の負債(貸り)ができたと思う」と語った。
会見では朝鮮半島の平和プロセスや非核化を巡る米朝対話、南北関係の改善についても多くの時間を割いた。文大統領は「南北間そして朝米(米朝)間対話のいずれも現在は楽観できないが、悲観する段階でもない」と指摘。「朝米対話は活発な状態ではないが、両首脳の信頼は続いている。対話しようとする努力は続けられている」と述べた。ただ、米朝対話の膠着(こうちゃく)は状況を後退させかねないとした上で、「米国の大統領選などのため、朝米間に時間的な余裕が多いとは思っていない。できるだけ早く対話に乗り出す必要がある」と強調した。
南北関係に関しては、「朝米対話だけを見ず、南北関係を発展させなければならない」として、「困難な状況だが、十分に良くなると思う」との認識を示した。
また、「国際制裁という限界があるが、限られた範囲内でも南北間でいくらでもできることがある」として、「南北協力において国連の制裁から例外的な承認が必要なら、その点については努力していくことができると思う」と説明。「北が非核化の実質的な措置を取れば、米国や国際社会も相応の措置を取らなければならない。その中には制裁の緩和も含まれる」とし、「南北の協力を広げていけば北に対する制裁の一部解除や例外措置の承認に対する国際的な支持を得られる」と述べた。
経済分野に関しては、「確かなのは否定的な指標は徐々に少なくなり、肯定的な指標は徐々に増えていること」として、「今年の経済成長率は2%程度になると判断している。厳しい(環境の)中、善戦した」と評価した。
不動産価格が高騰している問題については「必ず安定させる。異常に価格が上がった地域は価格安定という程度で満足しない」とした上で、「(価格を)原状回復させなければならない。今の対策の効果が切れたと判断されれば、より強力な対策を絶えず打ち出す」と強調した。
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