――韓国外交通商部長官在任当時と現在を比較すると。
「対処する範囲が世界の隅々に拡大され、発言の重さや意味、敏感性も格段に高くなった。しかし、地域紛争や特定国の内紛が深刻な時期に国際平和と安定を委任され、国連事務総長として介入し事態の好転に向け貢献するとき、長官当時にはできなかった任務に無限のやりがいを感じる。自分が予想していたよりもはるかに多くのことに寄与できる幅が広がったようだ」
――より重圧を感じる部分は。
「皆が期待しているという重圧感や精神的負担は少なくなく、時間も不足している。ある事態を直接仲裁したり問題解決に尽力するに当たり、表面の現象だけを見るのではなく、その裏にある深い問題を知る必要がある。まだ多くのものを学ばなければならない。いい機会なので話しておきたいが、(自身を含め)韓国外交官は個人としてみると優秀だが、外交を見据える範囲、扱う範囲、全力投球する範囲があまりにも限られている。国際社会における韓国の地位にふさわしい視野を持っていないようだ」
――時間が不足しているというのは。
「勉強すべきことが多いため、夕刻はもちろん朝からかなりの量の資料に目を通している。睡眠時間は0時から5時までで、ソウルにいたころより1時間削った。かなりの激務の上に言葉にできない重圧感があるほか、警護を含む周囲の人々の一挙手一投足を見ているため、行動の不便さというか、生活の負担感というのも感じている」
――健康管理も必要になってくるのでは。
「今のところは幸いにして、多くのスケジュールをこなし業務に集中する能力も失っていないが、激務が続くので健康管理をしようと思う。わたしは大変まめな人間だが、運動や健康管理には『三日坊主』の怠け者な面もある。ここで決心しなければと思っている」
――国連など国際機関に対する分担金納付額が少ない韓国は、発言権が弱いといわれるが。
「分担金はその国の経済規模水準に合わせたもので、経済協力開発機構(OECD)加盟国としては確かに少なく、韓国の政府開発援助(ODA)額も同様のことが言える。これは韓国という国のレベルにふさわしくないと考える。今年は『新千年開発目標』の半ばにあたる年度だが、果たして2015年までに目標を達成できるのか懐疑的な見方も多い。先進国、供与国として与えられた責任があるというのが一般的な見方だ。韓国もこうしたことにもう少し政策的な優先順位を置くべきだと考える」
――OECDの2006年度ODA平均は国内総生産(GDP)の0.36%だったが。
「北欧諸国が1%を達成しているのに対し、韓国では0.08%にすぎない。韓国政府は2030年にODAを0.35%まで引き上げることを目標とし、世界7大経済国入りを目指しているというが、すでにOECDの平均ODAは昨年時点で0.36%を超えている。韓国が2030年に0.35%を達成するというのは、初めから政策基準の設定を誤っているのでは。事務総長就任以来、指導者のビジョン、政策優先順位の重要性を実感している。方向設定、政策優先順位によって政策方向は大きく変わってくる」
――韓米自由貿易協定(FTA)妥決が新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)にマイナスの影響を及ぼすとの批判も出ているが。
「当面は無理でも、良い方向に向かい相互補完的な役割ができるものとみている。政治上の困難にもかかわらず妥決したことは評価されるべきだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の政治的意志と決断があったから可能だったことで、旧与党勢力までが反対する状況で、並の政治家なら途中で投げ出していたのでは」
――北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の今後をどう見るか。
「より円満に進むものと見ている。バンコ・デルタ・アジア(BDA)問題は解決されたが、いくつか技術・手順上の問題が残っていると承知している。北朝鮮の核問題が早期に平和的解決をみることを願っている」
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