“不思議な男”…俳優パク・ヘイルは、一言でこう定義される。

チェ・ウソン の最新ニュースまとめ

ソクリーンよりもはるかにほっそりとした体に、細長い手足を持ったこの男。真剣に映画のストーリーを説明していると思いきや、いたずらっ子のような顔で「今日、幻想が全部壊れるはず」とジョークを飛ばし笑わせ、胸の内を明かすと思いきや、一瞬のうちにバッサリと切り捨てる。

見せるようで見せないような。

彼が、1000万人の観客動員を記録した映画『グエムル~漢江の怪物~』に続き、ミステリー映画『極楽島殺人事件』で観客のもとを再び訪れる。
17人が暮らす小さな島・極楽島で連続殺人事件が起きる。住民全員が被害者であり容疑者である状況。住民たちは、保健所長チェ・ウソン(パク・ヘイル)を筆頭に、犯人の割り出しに臨む。

「監督が昔、知人に聞いた話らしいです。事実ではないとも言えないし、実話を基にしたとも言えません。観客の見方次第です」
推理劇は『殺人の追憶』に続き2作目だ。『殺人の追憶』では、犯人のようでなさそうな“不思議な演技”で、強烈な印象を残した。
「今回はすっきりと解決され、なぜそうなのかを全部教えてくれる親切な映画です」
連続殺人という素材がおぞましいと言うと、目を丸く見開いて言う。
「事実を知らせるニュースの方が、映画よりももっと強烈でゾッとしませんか?」
全羅南道新安郡(チョルラナムド・シナングン)可居島(カゴド)で5か月間撮影した。木浦(モクポ)に出る船が、2日に1回入ってくる所だ。もどかしくて孤独な感情が、映画の雰囲気とよく合う場所だった。映画の中で「狂った日」と表現される天候の悪化は、島では日常的なことだ。

「昼間も霧で覆われていて、“極楽島”なのに霧が晴れれば風が吹き、やっと日が差したと思ったら雨が降ったり。『初恋のアルバム~人魚姫のいた島~』も牛島(ウド)で撮影したので、僕も島というものを少しは知っているけど、撮影には最悪の空間です。“早く撮って島を出よう”という思いで、チームワークは良くなりました」
島では、誰も彼を知らなかった。
「僕の目の前を、“俳優が来たらしいけど、どこにいるの?”と言いながら通り過ぎていきました。一緒に出演されたチェ・ジュボン、キム・インムンさんが最高のスターでした。滞在場所に刺身が配達されたり。あ、町役場の職員さんが1人、僕に気づいてくれました」
劇中のキャラクターは、物事をしっかりと判断できる人物であり、これまで演じたキャラクター中、最も高学歴だという。『グエムル~漢江の怪物~』でも、大卒のフリーターだったのでは?と言うと、「今度は“S大医学部”です」と答えた。
制作会社のトゥエンターテインメントのチェ・ドゥヨン代表は、彼について「主演俳優は現場でワガママを言ったりもするが、そういうのが全くない」と語る。

「僕は、現場で生きていく方法を学びます。プロは自分の仕事だけを確実にやればいいというけれど、よりがんばる気にさせる力は、人間関係から来るものでしょう」
だからだろうか。現場で食器を洗う彼の姿が、インターネットで話題になった。家でもよく洗い物をするのかと尋ねると(彼は昨年結婚した)、「はい」と一言。プライベートに関する質問には短く答える。

最近の韓国映画危機論について尋ねた。
「スクリーンクォータの時もたくさん参加しましたが、とりあえずは…僕自身ががんばりたいですね。自分が努力をしてこそ、言える言葉があるはずです」
何かすごい話が始まるのかと思ったが、そのまま話を終えてしまうのも彼のスタイルだ。

インタビューが終わる頃、インターネットに掲載する動画のために、メッセージをお願いした。パク・ヘイルは「(動画を)撮らないとダメですか」と何度も訊く。
「僕は、そういうのは上手くできません。バラエティ番組も出られないんです。出演中、しどろもどろになって、映画のPRを台無しにしまいそうで…芝居とは違って、そのまま固まってしまうんです」
自然に話す姿を撮るからと言ってカメラを向けた。
「うーん、観客も犯人になれるというメッセージがあります…(目をつぶって考えながら)ああ、ほら、(言葉が)出てこないでしょ」
結局、18秒しか撮影できなかった動画を見ると、なぜかその自然体が、最も“パク・ヘイルらしく”感じられた。

Copyrights(C)donga.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp

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