国連総会は昨年末、北朝鮮人権決議案を14年連続で採択した(コラージュ)=(聯合ニュース)
国連総会は昨年末、北朝鮮人権決議案を14年連続で採択した(コラージュ)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の政府系シンクタンク、統一研究院は7日、ホームページで「北朝鮮人権白書2019」を公開し、北朝鮮では公開処刑や秘密処刑が続くなど、劣悪な人権状況にあるとの調査結果を発表した。  この白書では、韓国のテレビ番組などの録画物の視聴・流布、薬物取引、強姦など社会主義の秩序を乱す犯罪に対する公開処刑の事例がまとめられている。 白書は「薬物が北の全域に拡散しており、住民らが韓国の録画物を視聴・流布する事例の増加により、当局が取り締まりや処罰を強化していると判断される」と明らかにした。 また、裁判を行わなかったり、形式的な裁判のみを行ったりして処刑する超法規的、略式または恣意(しい)的な処刑が今も頻繁に行われていると説明した。 過去に比べて公開処刑の頻度は減少したとみられるが、実際に公開処刑が減少したのか、秘密処刑が増えたのかは明らかになっていないという。 恣意的や不法な逮捕・勾留、拷問、強制労働、拘禁施設での暴行なども横行していた。 一方で、白書は当局の方針によって暴行などが過去に比べ大幅に減少したという証言もあるとして、人権状況に変化があったか見守る必要があると指摘した。 社会・経済的には慢性的な食糧不足が続いており、食糧の配給が階級、企業などによって差別を受けているとされ、宗教や表現の自由も保障されていなかった。 しかし、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が関心を示した分野では人権状況が一部改善したことが分かった。 孤児やコッチェビ(ストリートチルドレン)は金委員長の指示による支援事業の拡大で人数が大幅に減り、むしろ「両親と住む子どもよりも良い環境で過ごしている」との証言もあった。 今回の調査では政治犯収容所についての証言は少なかったが、北朝鮮からの脱出(脱北)を試みた市民の収容事例は引き続き確認された。 白書は、脱北のあっせんや韓国にいる家族と電話で話したとの理由で政治犯収容所に送られたとの証言などから「直接脱北を実行せずとも、韓国への脱北に関するあらゆる行為を政治犯とみなすことが分かる」と分析した。 また、金正恩体制の発足と前後して国境の統制と脱北者の取り締まりが強化されていると明らかにした。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、17年末現在で難民として世界各国に滞在する脱北者は1175人で、前年の1442人に比べ減少した。 白書は、先ごろ韓国に入国した脱北者135人を対象に昨年行った面接の内容と、統一研究院が入手した北朝鮮公式文書の一部、北朝鮮が国連人権理事会に提出した報告書などを基に分析を行った。 統一研究院は、1996年から毎年北朝鮮人権白書を発刊している。
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