歌手キム・ジャンフン、と言えばまず思い出されるのが、185cmの長身、赤く染めたヘアスタイルである。ステージではカリスマ溢れるシャウト唱法のロッカーとしても有名だ。自分が正しいと思ったら、ためらわず言いたいことを言う性格が、強烈な印象を与える。ファンもこんなキム・ジャンフンを、ものすごく好くか、嫌うかの両極に別れているようだ。しかし彼と直接会ってみると、表面のイメージより哲学的で、人間味溢れるミュージシャンである事がすぐにわかる。苦しんでいる人を助けるボランティア精神も人一倍だ。

キム・ジャンフン の最新ニュースまとめ

「悲しくて号泣するよりは、涙しなくても、なんだか泣きそうな時の方が余計悲しいじゃないですか。そんな感情を感じられる歌をアルバムに収めました」

歌手キム・ジャンフン(38)は最近、ほぼ4年ぶりに完成した8thアルバム『彫刻』を発表し、音楽界に戻ってきた。

歌も衣装もみんな、常に攻撃的で目立つ何かを追求してきたキム・ジャンフンが、今回は感性的なバラード曲で変身を試みた。

彼は去る6日のインタビューで、「今回のアルバムは、全体的に僕のイメージを感じられないでしょう」「柔らかさの中に、より濃い感情が入っていると言う事を知りました」と語った。

ニューアルバムは収録された11曲中、2曲を除いた全てがバラード。アルバム全体を彼がプロデューシングした。

キム・ジャンフンは「どんな歌でも、一度聴いてピンとこようが、10回聞いてグッと来ようが同じこと」「歌はある頂点に至ると、頭の中に長く残るしかない」と説明する。

最初の曲『ショー』は、アップテンポ曲の一つ。一見、スピーディで楽しいように感じられる。しかし歌詞はとても悲しい。

人生の華やかさは、一幕のショーのようだ。カーテンが降りた後、ガランと空いたステージの裏で、過ぎた日々の辛く苦しかった事が走馬灯のように頭をよぎる情況で、果てなく行けるところまで行く、という内容だ。もしかすると、自分の人生を音楽で表現したのかもしれない。

タイトル曲『アイ・ラブ・ユー』は、音程を取りにくいシャープ(♯)とフラット(♭)がたくさん入っているが、聞けば聞くほどその魅力にはまってしまうバラード曲である。

キム・ジャンフンは「1000回聞いても飽きずに感動できる曲」と自信たっぷりに紹介した。こんなわけで、売上も遅いながらも上がってきていると、こっそり教えてくれた。

先月27日に公開された『奇跡の夏』の主題曲が10曲目に収録されている。主演俳優のパク・チミン君(11)と一緒に歌ったこの歌は、面白味と感動、笑いと涙が溶け込んでいる。キム・ジャンフンは楽譜を見て歌を歌い、アマチュアの振りをした。

彼は後続曲と考えている2曲目の『マイ・プロフィール』に大きな愛着を見せている。キム・ジャンフンのカラーを全く感じられない歌であるが、自分を世に広めたという意味だけで大満足している。

最後の曲『日月歌』は、陽が沈めば月が昇り、月が沈めば陽が昇るように、永遠に叶わない恋を切なく歌いあげた。この曲は収録曲中で唯一、ヘグム(奚琴)やテグム(大琴)といった伝統楽器を使っている。音楽の中、聞こえてくる太鼓の音は、心臓の鼓動のように近付いてくる。曲のイメージは、武林高手が、まるで天下を制し、悠々と旅立つような感じである。

アルバムの最もユニークな点は、黒いサングラスを取った歌手チョン・イングォンの顔を見られるというところ。「僕はジャンフンがとにかく好き」と、アルバムジャケットに参加した。

キム・ジャンフンは日常生活で悲しみと喜び、速さと遅さ、温和と強烈、柔らかさと強さなど、生半可な状態より、極と極の存在を追及する。小さい頃から、失郷民(※)の母親のもとで女で一つで育ったせいかもしれない。

「母は、男は卑屈になったり、特にお金にケチケチしてはいけないといつも教えていました。だから性格自体が白黒ハッキリしているようです」

キム・ジャンフンは1年に100回くらい行うコンサートでも、自分の極端主義的な性格のように、音楽で観客を泣かせ、笑わせる。

彼は「今年は小劇場公演で全国ツアーに出るつもりです。激しすぎず温和に、小劇場の雰囲気でコンサートを開きます」と語った。

キム・ジャンフンは来月1日から1ヶ月間、大学路(テハンロ)のジラーホールで“キム・ジャンフン的だ”という独特なタイトルでコンサートを開く。

※南北分断によって故郷を失った人々

Copyrightsⓒsegye.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp
Copyrights(C)segye.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp 0