違法操業する中国漁船に停船を命じる韓国当局(資料写真)=(聯合ニュース)
違法操業する中国漁船に停船を命じる韓国当局(資料写真)=(聯合ニュース)
【済州聯合ニュース】韓国を訪れる中国人の増加に伴い、査証(ビザ)免除で入国できる南部の済州島を中心に殺人や暴力などの犯罪が増え、韓国社会に不安が広がっている。黄海では中国漁船が盛んに違法操業を行っており、これを取り締まろうとする韓国の海洋警備当局とのせめぎ合いが激しさを増している。 韓国の専門家らは、中国人の犯罪を減らすためにビザ免除の入国制度の見直しや制度の強化が必要だと指摘する。中国漁船の違法操業を防ぐには、当局の厳しい取り締まりと並行して中国との外交的な協力も求められるという。◇中国人の犯罪増え、凶悪に 先月17日、50代の中国人の男が済州市内の教会で祈っていた現地の60代の女性を凶器で殺害する事件が起きた。ビザ免除で入国した男は市内のスーパーで凶器を買い事件前日に現場を下見し、激しく抵抗される恐れがなさそうな女性を狙った。 その8日前にも同市内の飲食店で中国人観光客が集団で50代の女性店主に暴力を振るう事件が起きている。料理を注文した後、コンビニエンスストアで買い込んだアルコールを飲もうとして女性店主に注意され、いさかいになった。食事代も払わず出て行った。  これらの事件から済州島では、ビザ免除を廃止し前科や犯罪の疑いがある中国人の上陸を認めないようにすべきだという世論が沸き立った。  昨年4月には40代の中国人観光客が空港のセキュリティーチェックを通過する前に女性係員の胸を触り、その場で逮捕された。男は酒のにおいをさせていた。 また、中国系企業の韓国法人代表を務める中国人の男が、今年2~3月にプライベートジェットで働く20代の韓国人の女性乗務員2人に対し性的暴行、わいせつな行為をしたとして立件された。◇増え続ける外国人の犯罪 この5年間、韓国では外国人による犯罪が増え続けている。法務部の資料によると、2012年に3万2364件だった外国人の犯罪件数は、昨年4万6994件に増加し、今年前半も2万5570件に上った。中でも中国国籍を持つ外国人による犯罪は12年から今年まで全体の40%以上を占めている。 済州特別自治道では中国人の犯罪者が13年の134人から14年が194年、昨年が260人と急増。今年1~6月は240人で、外国人犯罪者の69.1%を占めた。 ビザ免除の入国制度を利用し済州を訪れた中国人は13年が約181万2000人、14年が約285万9000人、昨年が約223万7000人だった。観光目的ではなく出稼ぎ目的で訪れる中国人も増えている。◇中国漁船は暴力で抵抗 海上では中国漁船の違法操業が横行している。 今月7日には仁川市・小青島周辺の海上で、違法操業の取り締まりに当たっていた韓国警備当局の高速警備艇に中国漁船が体当たりして沈没させる事件が発生した。 取り締まる側は身の危険にさらされている。中国漁船は韓国の警備艇が接近できないよう、船体の側面に何重にも鉄格子を張り巡らせ、漁船に乗り移ろうとする隊員には鉄パイプやなたなどを振り回す。08年9月と11年12月に韓国の海洋警察の隊員がそれぞれ1人、漁船の船員が振り回した凶器により死亡した。 また、中国漁船の違法操業は韓国の漁獲量を減らす。 韓国の排他的経済水域(EEZ)内で違法操業を行い拿捕(だほ)された中国漁船は、12年が341隻、13年が487隻、昨年は568隻に上った。押収した漁獲物も増え、昨年は25万4374キロだった。◇韓国の対策は 専門家らは、済州島での中国人の犯罪を減らすには、まずビザ免除制度の悪用を防ぎ外国人犯罪者が入国できないよう制度を補完すべきとの見解を示す。  済州国際大のファン・ジョンイク教授(警察行政学)は「観光以外の目的、特に不法就労や犯罪を目的にビザ免除制度を悪用する外国人を識別できるよう、指紋など個人情報を追加で確保できる技術的な面での制度の補完が必要だ」と提言した。中国当局と犯罪者情報などをやり取りする仕組みも講じるべきだとした。 与党セヌリ党の金鎮台(キム・ジンテ)国会議員は、外国人の犯罪に対し関係当局の徹底した対策作りが急がれると指摘。韓国のEEZ内での違法操業などを根絶するには、厳しい取り締まりと同時に外交的な働きかけも必要だとする。 最大野党の共に民主党の姜昌一(カン・チャンイル)国会議員は、韓中当局が違法操業防止に努めているが実効性は疑問だとしながら、「外交ルートで中国に厳しい取り締まりを要求すべきだ」と述べた。無許可の漁船が支払う保証金の額を引き上げたり、無許可漁船を韓国側水域に入れないよう韓中両国が指導、取り締まりを強化したりする必要があるとした。
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