<b>『拳がうなる』と『甘い人生』、そして『親切なクムジャさん』まで</b>

オ・ダルス の最新ニュースまとめ

彼の最近のあだ名は“二股”である。4月1日に“情け容赦ない”大激突を繰り広げる映画『拳がうなる』と『甘い人生』に同時に出演したためだ。両方とも個性満点の脇役で、観客の視線を奪う。これは大変だ。

それでなくとも本人も不安そうである。

「同じ日に公開されるとは、全く知らなかった」という彼は「両方の映画社から文句を言われている」と、決まり悪そうに笑った。

俳優オ・ダルス(37)。右の唇の上と、頬骨に、“ハエのように座っている(本人の表現)”黒いほくろが余りにも印象的な彼と、去る23日大学路(テハンノ)で会った。いったんは驚いた。思っていたよりも大きい顔に。そしてはにかんだ様子に。

<b>“ダルスの全盛期”?</b>
まだ“ダルスの全盛期”と言うのは早い。今を“全盛期”と言ってしまうと、彼の潜在能力を過小評価する事になるからである。確かなのは尋常ならぬ勢いが出始めているということ。『拳がうなる』と『甘い人生』だけではない。彼は最近、劇場街で波乱を巻き起こしている『マパ島』にも出演し、来たる6月に公開される『親切なクムジャさん』にも出ている。いずれも観客が絶対に覚えていそうなキャラクターだ。このくらいだと“タダ者ではない”と言えるだろう。

「上半期にあまりに多くの作品に出演したようなので、『親切なクムジャさん』でストップしました。このままじゃ文句言われそうなので」と、恥ずかしそうに笑う彼は、24日から4月4日まで大学路演劇実験室、恵化洞(ヘファドン)1番地で上演される演劇『モンタージュエレベーター』に出演する。

劇団<蜃気楼万華鏡>の代表演劇から映画に移った多くの役者たちのように、このままでは、オ・ダルスもまた映画一筋になってしまうのではないだろうか。返ってきた答えは明快だった。

「そんな日は来るはずがありません。僕が劇団の代表なんだから…。他の役者さんも、演劇に出演して、演劇を興して欲しいです」彼は劇団<蜃気楼万華鏡>の代表である。多くの団員の責任を負っている彼は、来たる9月から11月まで上演する『鯨がすむ金魚鉢』をはじめ、多くの作品を検討中である。

<b>「標準語も出来ないくせに…」</b>
今は劇団のれっきとした代表だが、彼は一時期、「標準語も出来ないくせに芝居をするだって?」と言われるなど、辛い目にあった。釜山(プサン)で生まれ育った彼は、強烈な方言を駆使する。釜山で芝居する時は問題にならなかったが、97年に上京した後はそれが大きな問題となった。

「ソウルに来てから大きなショックを受けました。“荷物まとめて帰っちまえ”ともよく言われましたね」彼は21才の時、芝居を始めた。釜山トンイ大学工業デザイン学科に入学したが、「自分は今、何をしているんだろう」と、懐疑し始め、結局は1学期を残したまま自主退学してしまった。

そんな時彼を支えてくれたのが演劇だった。釜山<ヨンヒダンコリペ>から始めた。

<b>『オールドボーイ』は、千載一遇</b>
彼もまた、最初は“生計”のために映画に出演した。2002年『海賊、ディスコ王になる』が初作品。

「たった3日間の出演でしたが、バイト代がハンパじゃありませんでした。芝居しながらガソリンスタンドのバイトとか、色々なことをやってきましたが、どうせ副業するなら同じ芝居にしようと思いました」
以来、『オールドボーイ』『6つの視線』『大統領の理髪師』『最後の狼』などに立て続けに出演。中でも『オールドボーイ』は、“映画俳優オ・ダルス”の誕生を知らせる映画だった。私設監獄の主として、後に歯を全部抜かれてしまうキャラクターを演じた彼は、この作品で“オ・ダルス印のコミカル悪党”時代を開いた。

「『オールドボーイ』がなかったら、パク・チャヌク監督に出会えなかったら、今もあちこちのオーディションを受けてたでしょうね」映画界での相次ぐラブコールで、彼の生活は豊かになっただろうか。彼は首を横に振った。

「貧乏にはずいぶん馴れてます。映画に出演したおかげで、幸い今は借金はありません。今までどうやって10年間耐えられたと思います?全部借金ですよ」

<b>香りのある悪党でありたい</b>
彼は自ら“卑劣な人間として出演した”という『拳がうなる』を見て泣いた。彼はこの映画で、どん底まで落ちたチェ・ミンシクの血を吸い取る金貸しとして登場している。

「試写会で泣きました。リングで戦うしかない2人の主人公の姿が本当にすごかった。周辺人生を描いた物語自体がとても独特な映画です」
『甘い人生』では、ロシア語を話す組織暴力団として、『マパ島』では160億ウォンを失って“イカれた”組織暴力団員として出演した彼は、「できれば香りのある悪党でありたいです。憐みが感じられるような悪党に」と、慎重に語った。

そして今彼は、「演劇でも、映画でも、役者は役者」と語る。彼にとって映画も、今や“生計”を超えたのだ。

Copyrightsⓒyonhapnews&etimes Syndicate&wowkorea.jp
 0