昨年2月の政権発足後に「朝鮮半島信頼プロセス」(対話や人道支援を通じ南北の信頼構築を目指す政策)を通じて提示した基本的立場にあらためて言及したのは、これまで北朝鮮核問題に進展がなかったとの判断によるものと分析される。
朴政権発足の直前に3回目の核実験を強行した北朝鮮は、核開発と経済改革を並行して進める政策により、寧辺の原子炉を再稼動させる動きをみせるなど、核能力向上に力を入れている。
韓国政府はこのような状況では人道的支援レベルでの交流・協力以上のものを実施するのは難しいと判断している。政府高官は「条件が変わらない状態で新しい政策を打ち出すのは意味がない」と述べた。
政府は核問題が解決しない状況で南北協力のレベルを高めた場合、韓国からの資金が核開発に使われる可能性があると懸念している。金剛山観光の再開問題に関連し、大量の現金移転を規制する国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議に違反する可能性があるとの主張も出ている。
また、北朝鮮の核・ミサイル能力向上について国際社会が深刻な懸念を示す中、核問題の当事国である韓国政府が南北協力のみを進めるのは難しいというのが政府内の意見の大勢を占めている。
統一問題についても核問題は必ず解決すべきだというのが政府の立場だ。朴大統領も「統一時代を準備する主要な障壁が核問題」と指摘している。政府筋は「核を持った朝鮮半島の統一をいかなる国が支持するだろうか」と述べた。
韓国政府は北朝鮮へ圧力をかけると同時に核を放棄すれば積極的に支援すると誘導する一方、非核化問題については北朝鮮の変化を促すことに力を入れ続けると予想される。米国で7日行われる韓米外相会談でもこのような立場をあらためて確認し、非核化対話の再開に向けた動きに力を入れることで一致するとみられる。韓米は北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の議長国である中国を通じて北朝鮮の変化を促すことで意見が一致しているとされる。
ただ、一部からは核問題で韓国政府が主導的役割を果たすべきだとの声も聞かれる。民間シンクタンク、世宗研究所の洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)首席研究委員は「米国や中国の立場をみると韓国政府が積極的な役割を果たす前に核問題が進展するのは難しい。その点から、原則論を述べるにとどまった朴大統領の記者会見が残念だ」とコメントした。
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