久しぶりに仕事場に出てきた北朝鮮の労働者は残暑の中、工場で作業に集中して汗を流し、食堂では昼食を準備する煮炊きの煙が広まり始めていた。
共同取材団の車とトラックが道路上を行き交い、青い制服を着た北朝鮮の係員が2人1組のペアで車両を案内した。
稼動中断状態が続いていた7月、開城団地での実務会談の取材のために訪れた時は人の気配がしなかった。通りには電源の切れた信号機しかなく、ブロックの隙間からは雑草が生い茂っていたが、そのようなものさびしい雰囲気とは全く異なる状況だった。
韓国では消えつつある軽油バスも、液化天然ガス(LNG)の充填(じゅうてん)施設がないここでは労働者の通勤の手段として活躍している。
休み時間にバレーボールを楽しむ北朝鮮労働者の姿も目についた。
この日稼働率100%になったのは28の企業。韓国の入居企業の管理者は久しぶりに仕事場に出てきた北朝鮮労働者たちが以前よりも積極的に仕事をするようになったと口をそろえて言った。
総勢1011人の北朝鮮労働者が出勤し、稼動率100%を記録した衣類会社の作業場では女性労働者400人余りがミシンを使った作業を行っていた。
同社の法人長は「これまで困難があり被害が大きかったが、本来の姿に戻ってうれしい」とし「労働者が以前よりも意欲的だ」と再稼働の感慨を語った。
この作業場で仕事をする50代の北朝鮮女性労働者に、再び仕事をすることになったことについて尋ねると「皆、同じ民族同士しなければならないことだから出てきた。ほかのところに行って働くよりここが良い」と述べた上で「早く統一すれば、お互いに行ったり来たりできる。統一しないから法人長を私の家に招待できない」と冗談を言った。
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ある入居企業関係者は先月23日に再稼働準備のために北朝鮮労働者たちと会議をした際に、コーラ飲料を持っていって席に置いた話をした。「以前は絶対飲まなかった労働者が全員コーラを飲んだので驚いた。北朝鮮労働者の態度が稼動中断以前と比べてかなり変わった」と伝えた。
また、別の衣類会社の関係者は「北朝鮮の労働者が数か月の間にぐっとやせて、真っ黒に日焼けしていた」と説明し「そのうちの一人に理由を尋ねたところ、海水浴場に行ってきたと答えたので、驚いて言葉に詰まった」と話した。
スマートフォン(多機能携帯電話)に使われるモジュールなどを作る企業では、防塵(ぼうじん)服を着て作業に集中する北朝鮮労働者の姿が目についた。工場の関係者は「7年ほどになる熟練労働者なので細かい作業もうまい」と話した。
革かばんや革靴などを生産する企業の工場長は南北が合意した団地の発展的正常化策について「持続的に注文を受けることができる信頼関係ができたと考える」と話した。また「南北間の協議体の構成や制度的な問題に対する解決策にも満足している。これまで南側バイヤーにとって(団地は)安定的ではなかったが、改善されると思う」と期待感をにじませた。
韓国側労働者のための支援施設も少しずつ運営を再開した。
開城工業地区総合支援センターにあるトレーニング室は16日から正常運営に入り、開城免税店の平壌食堂も営業を開始した。
開城団地の正常化をさらに進めるため、秋夕(中秋節、今年は9月19日)連休も里帰りできない韓国の駐在員のために開城工業団地管理委員会は秋夕当日の19日に合同の先祖供養祭事を行い、伝統的な遊びや昼食を共にする会を催す。
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