ヘギョンさんに声をかける崔桂月さん=28日、ソウル(聯合)
ヘギョンさんに声をかける崔桂月さん=28日、ソウル(聯合)
「お母さん、私です。末息子がこれからは親孝行をします」――。北朝鮮拉致被害者の金英男(キム・ヨンナム)さんが、28年ぶりに母親の崔桂月(チェ・ゲウォル)さんと再会した。息子を抱きしめ「息子よ、わが息子よ」と繰り返す母親に、こんな良き日にどうして泣くのかと語りかけた。
 北朝鮮・金剛山ホテルで行われた南北離散家族面会行事に参加した金英男さんは、午後2時40分から面会場で母親の到着を待っていた。日本人拉致被害者、横田めぐみさんとの娘である可能性が高いとされるヘギョンさん、再婚相手のパク・チュンファさん、息子のチョルボンくんもともに参加した。

 午後3時に崔さんと、娘で英男さんの姉、英子(ヨンジャ)さんが到着。崔さんは息子を抱きしめ顔を撫で、涙を流した。「健康な姿が見られてよかった。嬉しい」と言う英男さんに、英子さんも涙を流し「髪の毛も声も、子どもの頃そのまま」と話した。これで死んでも心残りはないという崔さんを、英男さんは「もっと長生きしてください。これから親孝行します」といたわった。

 ヘギョンさんは白いチマと黒いチョゴリ姿、左胸には金日成総合大学のバッジをつけていた。父と祖母の再会を見守り、ハンカチで目をぬぐった。英子さんは「テレビで何度も見ていた」と初めて会う姪に声をかけた。

 英男さんはスーツ姿でがっしりとした体格、やや頭髪が薄くなったが、健康そうな様子だ。「さぞ息子を心配されたことでしょう。親不孝な息子です」と、崔さんに「クンジョル」と呼ばれる最上級のお辞儀を捧げ、家族らも続いてあいさつを交わした。

 テーブルにつき会話をする最中にも、英男さんは母の手をしっかり握り、父親がいつ死んだのかなど、これまでのことを尋ね、兄たちにも会いたいと話した。崔さんと英子さんは、かわいい娘と息子、嫁も美しい人でよかったと喜びを語った。崔さんは溢れる感情を抑えきれない様子で、何度も涙を流し、嗚咽した。

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