北朝鮮メディアが李氏を金第1書記の夫人として初めて報じたのは7月25日だった。約1か月後の9月1日、検索最大手グーグルで李氏の英文名(Ri sol ju)を検察したところ、計約3370万件が表示された。金第1位書記に比べ、わずか約1200万件少ない。
背景には、世界で最も閉鎖的な国のファーストレディーという点がある。二十歳を過ぎたばかりの魅力的な若い女性ということも好奇心を高めたとみられる。
専門家らは北朝鮮が異例に「領導者」の夫人を公開したのは、経歴が浅くて若い正恩氏の不安なイメージを補うためと分析している。金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の妻が公開された例はほとんどない。金総書記は妻が4人もいたが、その存在が確認されたことはない。
約1か月間の李氏の歩みは夫の引き立て役ではなく、権力者の一人に浮上する可能性を示唆している。
北朝鮮メディアによると、李氏が登場してから金第1書記は計23回の公開活動を行った。このうち、李氏は15回(65%)を金第1書記と同行した。とりわけ、軍部隊視察まで同行したことが目立つ。韓国と対峙している軍事境界線付近の部隊も訪れた。
軍の最高司令官が軍事境界線から近い部隊を訪問する際、妻と同行するのは共産主義国では破格といえる。
最近公開された金総書記の母親、高英姫(コ・ヨンヒ)氏の記録映画では、高氏が軍部隊を視察する場面が登場する。北朝鮮脱出住民(脱北者)によると、北朝鮮は1990年代末から高氏を「平壌の母親」と呼び、偶像化した。ただ、高氏の政治的な影響力については明らかになっていない。北朝鮮はこれまで高氏の存在を明かさなかった。
これに対し、李氏は経済や軍事を問わず、幅広い分野で旺盛な公開活動を行っている。一般的なファーストレディーの役割にとどまらないとの分析が説得力を得ている。金第1書記の強力な支持があるとの声もある。
北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「(金正恩体制が)すべての部分で新しいことを模索しているというシグナルだ。金総書記との差別化を図っている」と説明した。脱北者の一人は「軍幹部が出席する行事に妻を連れてくるのは想像しがたい。軍部の反発を招きかねないためだ。(李氏の同行は)金第1書記の個人的な意向による行動だと思う」と述べた。
Copyright 2012(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0