尹大統領、国情院の「対共捜査権」移譲に反対意見...韓国では批判の声も(画像提供:wowkorea)
尹大統領、国情院の「対共捜査権」移譲に反対意見...韓国では批判の声も(画像提供:wowkorea)
韓国メディア「イーデイリー」によると、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は26日、国家情報院(国情院)の「対共捜査権」を警察に移譲する問題に関して、「海外での捜査とつながっているため、国内にいる警察が捜査を担当することには検討の余地がある」と述べたという。しかし、この発言には批判の声も上がっている。

 尹大統領は同日昼、大統領室で行われた与党指導部の昼食会で、このような意見を明らかにした。

 対共捜査権の移譲問題について、尹大統領の意見が公開されたのは初めてだ。与党「国民の力」も同様に主張しており、大統領が与党側の政策を後押ししたものとみられる。

「対共捜査権」とは、スパイなど国家保安法違反の犯罪に対する捜査権を指す。この捜査権は国情院が持っていたが、前任の文政権で国情院法の改正案が出され、来年1月1日から警察の国家捜査本部に移譲される予定となっている。

 最近、与党では、防諜当局が捜査中のスパイ団事件などを取り上げ、国情院の対共捜査権を維持すべきだと主張している。

 同党のチョン・ジンソク(鄭鎮碩)非常対策委員長は26日の昼食会で、米韓同盟70周年の行事準備、全党大会への出席、対共捜査権移譲などに対する3つの対策を尹大統領に建議した。

 同党のヤム・グムヒ(梁琴喜)首席報道官は、「(大統領に)対共捜査権移譲問題に対策が必要だと建議した。対共捜査はスパイ団事件でも分かるように、(スパイが)海外で北朝鮮と接触する場合が多く、海外捜査が同時に行われなければならない。捜査権の移譲に関しては、さまざまな検討が必要だということで意見が一致した」と説明した。

 スパイ団事件に関連した国家保安法違反容疑者らが、ここ数年間カンボジアなど海外で北朝鮮と接触したことが伝えられている。そうした中で、与党では数十年間構築された海外防諜網を備えた国情院が、捜査権を維持するのが正しいと主張している。

 尹大統領や与党のこのような発言に対しては、批判の声も出ている。

 韓国日報は28日付の社説で、「現実がこうだからといって、法の再改正なしに、国情院に捜査権を残すような手段を使っては困る」と批判した。「改正法の趣旨どおりなら、国情院は猶予期間に警察と緊密に協業し、捜査方法などを伝える責任があった。それにもかかわらず、これまで無視してきた」と指摘した。

 ハンギョレ新聞も27日付の社説で、「国情院の改革の趣旨に真っ向から反するという点で、深刻に受け止めざるを得ない。国情院法上、国情院の捜査権がなくなるだけで、内定調査の段階で必要な情報収集や調査の権限はそのまま残っている事実に、わざと背を向ける主張だ」と批判した。
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