<W解説>韓国外交部の当局者の説明からうかがえる、元徴用工問題解決に向けた明るい道筋(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国外交部の当局者の説明からうかがえる、元徴用工問題解決に向けた明るい道筋(画像提供:wowkorea)
韓国の外交部は13日、日韓最大の懸案である元徴用工問題について、解決策が「以前よりもさらに絞られた」との見解を示した。外交部は先月29日にも、「以前よりも絞られたのは事実だ」と明らかにしており、解決策が徐々に具体化していることをうかがわせる説明が相次いでいる。

 元徴用工訴訟をめぐっては、大法院(日本の最高裁判所に相当)が2018年11月に三菱重工業に対し、原告への賠償を命じた。しかし、賠償問題に関し、日本としては1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、同社は履行を拒んだ。このため、原告側は2019年1月に韓国内にある同社の資産の差し押さえと売却(現金化)に向けた手続きに踏み切った。2019年3月、中部のテジョン(大田)地裁は同社の韓国内資産である商標権2件と特許権6件の差し押さえを決定した。同社側は差し押さえ命令を不服として即時抗告したが、同地裁がこれを棄却。同社は地裁の判断を不服として大法院に再抗告したが棄却された。

 これに伴い、同地裁は昨年9月、原告2人が求めていた計約5億ウォン(約5200万円)相当の同社の商標権と特許権の売却命令を決定した。同社側はこれに対しても抗告したが棄却され、今年4月、大法院に再抗告した。一方、大法院は再抗告についての判断を下していない。

 仮に現金化されれば日本政府は制裁措置を取る構えで、そうなれば日韓関係は破綻するとさえ言われている。そのため、現金化は絶対に避けなければならないという認識では日韓両政府とも一致している。

 今年5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は日韓関係改善に意欲を見せ、元徴用工問題の解決に向けても、これまで精力的にアクションを起こしてきた。

 早期の解決を目指す中で、韓国政府は当初、解決策として韓国政府の予算を使った代位弁済案を検討したが、原告側が反対し実現は難しいと判断。他の方策を模索する過程で、韓国の元徴用工を支援する財団が両国の企業などから寄付金を募り、賠償金を肩代わりする案が浮上した。韓国政府は現在、これを最も有力な解決策として捉えているものとみられる。

 韓国国会は現在、尹政権の対日政策を「弱腰外交」などと批判を強める最大野党「共に民主党」が議席多数を占めていることが問題解決を難しくしている側面もあるが、既存の財団を使ったこの方法ならば、新たな法整備が不要なため、国会審議で苦慮する心配はない。しかし、原告側は韓国の財団など第三者が間に入るにしても、日本企業の謝罪と寄付金の拠出への参加が必要だとの立場を示している。一方、日本はこれに応じる姿勢を明確に示していないため、この溝を埋められるかがカギとなる。

 こうした中、パク・チン(朴振)外交部長官は今月6日、チェ・サンヨン(崔相龍)元駐日韓国大使ら、日韓関係に精通する重鎮と面談し、元徴用工問題解決に向け意見を交わした。翌7日には、着任間もない外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長が元徴用工と面談した。当局からは、韓国政府が日本との交渉の過程で、日本側の謝罪と賠償のための基金の拠出を強く要求したとの説明があったという。これに対し、元徴用工側は、日本側から意味ある謝罪を導き出すことに加え、基金設立に日本企業を参加させることを求めた。これら一連の動きは、韓国政府として、元徴用工問題と関連した韓国内での意見の取りまとめに向けた動きとして注目される。

 さらに14日には、与党「国民の力」の元北朝鮮駐英公使のテ・ヨンホ議員が日本を訪れた。韓国メディアによると、テ氏の訪日は尹政権の日韓関係正常化に向けた取り組みを後押しするためのもので、日本の政府や国会、学界など幅広い分野の関係者と両国関係の懸案を議論し、解決策を探ることが目的だったという。

 外交部のイム・スソク報道官は13日の定例会見で、この問題の解決策の進展状況について「韓日間の緊密な協議を通して、以前よりも絞られた」と述べた。イム報道官の発言からは、解決に向け、明るい兆しが見られることをうかがわせる。日韓両政府はこの機運を逃してはならないだろう。

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