●事件の発端
2020年、江原中島開発公社が各証券会社からレゴランド建設資金を借り、事件は始まる。まず江原中島開発公社は2012年にレゴランド事業を担当するために設立した会社で、江原道が44%の持分を所有している。レゴランドのような大規模な建設資金を集めるためには他の証券会社から資金を仲介してもらうケースが多い。江原中島開発公社は資金を借りるため、まず「アイワンジェイルチャ」という会社を作った。アイワンジェイルチャは資金調達のために作られた臨時会社で目的を果たしたらなくなる特徴を持つ。こうして作られた会社は親会社(江原中島開発公社)の財務状態に影響を受けず、高い信用等級を受けることができ、これは金を借りる時さらに有利に作用する。
こうして江原中島開発公社はアイワンジェイルチャを利用し、証券会社から2050億ウォンを借りた。そこでレゴランドの事業性を担保に債券を発行した。債券は簡単に言うと、金を借りたという借用証だ。一種の買掛証書であり、投資家同士で売り買いができる。もちろん、債券は常に危険を含んでいる。買掛した人が逃げてしまえば金を受け取れないように、債券を発行した主体がつぶれてしまうと金を返してもらうことができなくなる。
それにもかかわらず、2050億ウォンの金を借りることが可能だった理由は、江原道で債務関係を保証したからだ。万が一、事業に支障が起き、江原中島開発公社が金を返すのが困難になったら江原道が代わりに返すと約束したのだ。国家機関である自治体で保証したのだから、投資家たちは安心できたのだ。実際にレゴランドの事業性が物議を醸したにもかかわらず、信用評価者たちは2050億ウォン規模の債券に対して最高等級である信用評価A1等級をつけた。
●江原道、江原中島開発公社の再生手続き申請の決定
真の問題はここからだ。その後2年という時が流れ、江原道にキム・ジンテ道知事が新たに赴任し、レゴランド事業に否定的な立場をほのめかし始める。最近の経済不況に加え、江原道の財政状態を考慮すると2050億ウォンの借金を抱えるのは負担だというのだ。その結果、9月28日に江原道は2050億ウォンを返さなければならない日を1日前にして江原中島開発公社に対する再生手続きの申請をすることにした。
企業再生は企業だけで事業を進められなくなった時に法の助けを借りる方法だ。投資家たちはこれを事実上、江原道が借金を返せなくなったという意味で受け取った。裁判所に再生手続きを申請することになると、裁判所が定めた法定管理人が企業の資産を売って得た金で借金を返すことになる。そこで金を貸した人たちは返済を催促することはできず、資産が適正価格で売れなければ金を完全に返してもらえなくなる可能性がある。そこに再生手続きも事実上、長い時間がかかるため、投資家たちに不満が起こって当然なのだ。
そして9月29日。2050億ウォン返済の期日となったが、江原中島開発公社は金を返せなかった。江原道は再生手続きの申請が不正事業をなくすためであり、ことし中に借金を返済すると強調したが、評価団の考えは違う。10月5日、江原中島開発公社が作ったアイワンジェイルチャは信用等級がA1からDにまで落ち、最終的に不渡り処理となった。こうして投資家たちの間では事実上、国家と似たような信頼を持つ自治体も債務に対する保証をできないという認識が広がったのだ。
●凍り付いた資金市場…経済危機の恐れ
アイワンジェイルチャ債券の不渡りの知らせに、資金市場は急速に凍り付き始めた。自治体が保証した債券も不渡りが出た中で、民間企業も信じられないということだ。こうして債務関係に対する不信は企業の資金調達危機に続く。
資金調達危機は、企業経営にとって致命的だ。企業は資金を通じて給料を支払い、事業を進めるなどの経営活動をしていく。その中で、保有している金を残さずに使い続けなければならない。金が残っていること自体が、企業の立場としては新たな事業に投資するチャンスを逃すのと同じだからだ。だから企業は常に新たな金が必要になるのだが、債券がそれを調達する手段なのだ。
そうでなくても最近、金利引き上げなどの経済不況で資金が円滑に回らず、債券市場が委縮した状態だった。そこに今回のレゴランド問題まで重なり、信頼度すら失った債券市場が完全に凍り付いてしまったのだ。いわゆる「金脈硬化」で、企業の金づるが切れてしまったのだ。
企業の立場としては金をその時に投資してもらえなければ、借金が過度に増加し、ひどければ不渡りに至る。証券会社も同じだ。証券会社は大規模な建設事業を仲介する時、事業リスクを全て抱える条件で資金を持ってくる。企業が金を返せなければ、その負担は証券会社に来るのだ。ややもすると、「ドミノ倒産」に至る恐れもあるのだ。
実際に最近の企業は資金調達が困難になり始めている。高い信頼度で評価された公企業、韓国電力も市場が凍り付いて1200億ウォンほどの金を借りれなかった。韓国道路公社は1000億ウォン規模で債券を発行しようとしたが、全額無効になった。また事業性が優秀だと評価されるドゥンチョンジュゴン再建築も7000億ウォン規模の金を新たに借りて返そうとして失敗した。
信用度が低い中小企業は言うまでもない。中小建設会社の場合、最近の不動産取引費用は下落した一方、建設費用が増加し、業況自体が良くない。そこに事業資金調達すら支障があり、財政難に陥る可能性が高いため、レゴランド発の経済危機の“雷管”になる恐れも出てきている。
10月23日に政府は、この事態を落ち着かせようと「50兆ウォン+アルファ」の金を投入すると明らかにした。硬直した市場を活気づけるという意図だ。この年末に企業が借りた金の満期日が重なっており、短期的に早い対処が必要だという分析だ。ただその場しのぎであるだけに市場全般の活気を取り戻すには限界があり、自治体で始まった経済危機を国民の税金で埋めているという批判は避けられないと見られる。
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