<W解説>韓国・女性家族部はどうなる?政府は組織改編案まとめるも、巨大野党の反対で難航の公算(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国・女性家族部はどうなる?政府は組織改編案まとめるも、巨大野党の反対で難航の公算(画像提供:wowkorea)
韓国政府は今月6日、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の公約を盛り込んだ政府組織改編案を発表した。尹氏が大統領選で廃止を公約に掲げていた女性家族部(部は省に相当)は、計画通り廃止する方針。ただ、政府組織を見直すには政府組織法の改正が必要で、国会で議席の多数を占める最大野党「共に民主党」は女性家族部廃止に強く反対しているため、審議は難航が予想される。

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 女性家族部は、女性政策の企画・総括や女性の地位向上、家族と多文化家族政策の樹立、青少年の育成などに関する業務を行う省庁。2001年にキム・デジュン(金大中)政権時に女性部として誕生し、2005年のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時に改編された。

 これまで、戸主制を廃止したほか、家庭内暴力特別法や性売春防止法の制定を実現するなど成果を上げてきた。一方で、女性家族部が扱う分野は女性政策に限らず多岐にわたっているにも関わらず省庁名に「女性」が入り、強調するような印象を与えていることに疑問を呈する人もいる。かねてから韓国では、若い世代の男性を中心に「女性は男性よりも優遇されている」、「徴兵制がない女性に比べ男性は不利」などといった声が上がっていた。SNSでは、女性運動や性暴力の告発などで声を上げる20代女性らを批判する動きもみられる。

 尹氏は先の大統領選で女性家族部は女性優遇の政策を量産しており、本来の機能を果たしていないと指摘。「男女を分けるのではなく、児童や家族、人口減少問題を総合的に扱う省庁の新設を推進する」として、女性家族部の廃止を公約に掲げた。尹氏が当時この公約をSNSで発表すると、1時間も経たぬ間に共感を示す「いいね」の件数が6000件を超えた。一方、女性家族部は元慰安婦を支援する業務も担っているため、女性家族部の廃止論に、元慰安婦からは反対の声が上がり、元慰安婦のイ・ヨンスさんは「女性家族部を廃止したら私たちはおしまいだ」とし、存続を求めた。

 だが、尹氏が廃止の公約を発表した直後に実施された世論調査会社リアルメーターの調査では、女性家族部の廃止について51.9%が「賛成」と答え、「反対」38.5%を上回った。

 一方、当時、この公約の真の狙いは20代男性有権者の票固めのためだったとの見方も出て、大統領選で尹氏の対立候補だった「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏(現・党代表)は「政治的な目的のために一方の肩を持ってはならない」と批判した。

 女性家族部の廃止をめぐっては、かつてイ・ミョンバク(李明博)政権も廃止を進めたが、結局失敗に終わった。李元大統領は政権発足から1年9か月後、縮小を進めた組織を再び改編した。女性の地位向上を訴える団体などからの反発を招いたためだ。

 しかし尹氏は今年7月、廃止に向けたロードマップ(行程表)を作成するよう、キム・ヒョンスク(金賢淑)女性家族部長官に指示。廃止に向けた準備を促した。

 政府が6日に発表した政府組織改編案では、女性家族部は廃止した上で、同部が担ってきた主な業務は保健福祉部に移管して同部に「人口家族両性平等本部」を新設するとしている。

 女性家族部のチョ・ミンギョン報道官は4日、定例会見で「金長官が繰り返し強調してきたように、女性家族部を廃止して機能と役割を強化し、効率的に遂行していく」と述べた。

 このほか政府組織改編には、愛国心の向上や退役軍人に関する政策の立案と実施を行う「国家報勲処」を「国家報勲部」に格上げすることや、「在外同胞庁」を新たに設置することを盛り込んでいる。

 国会で議席の多数を占める野党「共に民主党」が反対する中、尹氏が公約に掲げる女性家族部の廃止が今後実現するのか注目される。

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