<W解説>日韓の相手国への好感度が上昇=調査実施のシンクタンク「両政府が動くべきと民意が示している」(画像提供:wowkorea)
<W解説>日韓の相手国への好感度が上昇=調査実施のシンクタンク「両政府が動くべきと民意が示している」(画像提供:wowkorea)
韓国の民間シンクタンク「東アジア研究院」と日本の非営利シンクタンク「言論NPO」は今月1日、両国で実施した世論調査の結果を発表した。それによると、日本人が韓国に良い印象を持つ割合は前年比5ポイント増の30.4%で、韓国人が日本に良い印象を持つ割合は前年比10.1ポイント増の30.6%だった。2013年から行われているこの調査で、日韓共に相手国への好感度が上がったのは2016年以来。調査では、米中対立など、国際情勢の変化で日韓関係が重要だと考える人が増えているなどと分析している。今回の調査は日本人1000人、韓国人1028人の計2028人を対象に7月から先月にかけて実施した。

 両国間の好感度は年齢層が低いほど高かった。10代では、相手国に対して良い印象を持つ人は日本で52.2%、韓国で53.5%に上り、全年齢層の中で唯一、過半数を超えた。一方、全年齢層の中で最も低かったのは60代以上で、日本は25.4%、韓国は22.9%にとどまった。シンクタンクはこの結果に、若い世代は渡航やSNSなど直接的な経験を通して判断する一方、年齢が高いほど固定観念が強いと指摘した。

 また、現在の日韓関係について「非常に悪い」、または「どちらかといえば悪い」と回答した人は日本人で昨年比12.9ポイント下がって39.8%、韓国人で昨年比16.4ポイント下がって64.6%だった。

 また、両国の関係改善を「支持する」と答えた日本人は53.4%、韓国人は81%で、「戦後最悪」とも言われるまで悪化した現在の状況を打開すべきとの認識が高まりつつあるといえる。

 様々な観点から質問した今回の調査のうち、韓国メディアのノーカットニュースは、日本人のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領に対する好感度が、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領に対する好感度よりも約10倍高かったことに着目した。今回の調査では日本人の尹氏に対する好感度は20.1%だった。悪い印象を抱いている人の割合は4.6%にとどまった。一方、昨年の調査で当時大統領だった文氏への好感度はわずか2%だった。

 このような結果が出た要因について、ノーカットニュースは、尹氏が日韓関係の改善に意欲を見せ、積極的に行動に乗り出している点を挙げている。先月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の演説で尹氏は、日本について「かつてわれわれの自由を取り戻すため、政治的な支配から抜け出す対象だった日本は、今や世界市民の自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせていかなければならない隣国だ」と指摘。その上で「韓日関係が普遍的な価値を基盤に、両国の未来と時代的な使命に向かって進むなら、歴史的問題もきちんと解決できる」と強調した。

 また、1998年に発表された日韓共同宣言に言及。「両国の政府や国民が互いに尊重し、経済や安全保障、社会、文化にわたる幅広い協力を通じて、国際社会の平和と繁栄に共に寄与しなければならない」と述べた。尹氏は大統領選候補者の時から同宣言を取り上げ、「共同宣言には韓日関係を発展的な方向に導けるほぼすべての原則が盛り込まれている。この精神と趣旨を継承し、韓日関係を発展させれば、両国の未来は明るいはずだ」との考えを示している。

 日韓最大の懸案である元徴用工問題に関して尹氏は、大統領就任100日目に合わせて先月開かれた記者会見で「日本が憂慮している主権問題と衝突せずに原告が保障を受けられる方法を考えている、私は肯定的に見ている」と述べた。

 調査を実施した東アジア研究院と言論NPOは結果を分析。東アジア研究院は「相手国への好感度、関係改善への支持、未来への展望などがこの10年間で最も高くなっている」と説明。また、「関係改善の最も大きな足かせとなっている徴用工、慰安婦など歴史問題については、韓国は歴史問題として捉えているのに対して、日本は『政府間の合意の順守』という国同士の信頼の問題として捉えていることに認識の違いがみられた」と分析した。一方、言論NPOは「国民感情は変わり始めているが、政府間の関係は動いていないことを調査は示している。日韓両政府が動くべきだと民意が示している」と指摘した。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3