北朝鮮では新型コロナウイルス感染症の流行で、しばらく中継が途絶えていた伝統相撲「シルム」の中継が復活した。秋夕(チュソク、中秋節)に放送される定番競技だったシルム大会が蘇り、北朝鮮でも新型コロナで強化されていた社会的距離確保の措置が、解除されたのではないかという見方が出ている。

キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ

 10日、朝鮮中央テレビでは第18回「大黄牛賞全国民族シルム競技」の決勝戦を録画中継した。先立って1~2日、ピョンヤン(平壌)ルンナ(綾羅)島にある民族シルム競技場で開かれた今回の競技では、予選を経て8人の選手が決勝戦に上がった。

 平壌代表として出場したソン・チョルミン選手が1位になり、優勝カップと金メダルを獲得。昨年優勝したカンウォンド(江原道)のチェ・ウィソン選手が準優勝、チャガンド(慈江道)のカン・ソングン選手が3位だった。秋夕を迎え、韓服を着て競技場に集まった観衆は、歓声と拍手喝采で故郷の選手たちを応援した。

 生前、故キム・ジョンイル(金正日)総書記の指示で、毎年秋夕の前に開催されていた大黄牛賞シルム競技は、北朝鮮の代表的な秋夕のスポーツ。2019年の第16回まで、北朝鮮では毎年秋夕になると、シルム競技の決勝戦を録画放送していた。しかし、コロナの影響で昨年の第17回は放送の編成から外れ、2020年には競技が開かれなかった。

 今年、秋夕のシルム競技が再開されたのは、北朝鮮が先月10日に全国非常防疫総和会議で、新型コロナウイルスの終息と通常の防疫体制に戻ると宣言したためだ。北朝鮮でもコロナ以前の生活に戻りつつあるとみられる。

 一方、北朝鮮メディアはキム・ジョンウン(金正恩)総書記が前日、防疫部門の功労者らと記念写真を撮ったニュースや、政権樹立74周年を迎えて繰り広げられた各種記念行事を伝えることにも力を注いだ。

 ただ、墓参りのために、バスや電車の増便・時間延長などのニュースはなかった。北朝鮮では秋夕を「墓参りに行く日」と呼んでいるほど、国民の多くが墓参りの風習を守っている。北朝鮮メディアは2019年まで、秋夕を前後して墓参りの交通情報を欠かさず伝えてきた。
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