<W解説>日本再進出を果たした韓国・現代自動車=タクシー会社への車両供給は市場拡大の契機となるか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>日本再進出を果たした韓国・現代自動車=タクシー会社への車両供給は市場拡大の契機となるか?(画像提供:wowkorea)
韓国の自動車メーカー、現代自動車は今月20日、電気自動車(EV)「アイオニック5」を日本のタクシー会社、エムケイ(本社)に供給すると発表した。同社は今年2月、約12年ぶりに日本の乗用車市場に再進出すると発表。今年5月からアイオニック5と燃料電池車(FCEV)「ネッソ」の受注を始め、今月から納車している。現代は今回、アイオニック5を供給する契約をエムケイと結んだことについて「日本のEV市場攻略の第一歩を踏み出した」としている。

 「アイオニック5」は同社初のEV専用車種で、昨年から韓国のほか、欧州、米国などで販売してきた。韓国では昨年2月の事前契約初日に2万3760台が成約済となり、昨年1年間の販売予定分を1日で達成する大旋風を巻き起こした。

 また、欧州市場では初回限定モデル「ヒュンダイ・アイオニック5プロジェクト45」が予約開始1日で予定台数の3倍以上が成約済みとなった。当時、ヒュンダイ欧州の副社長は「超急速充電と航続距離の長さ、突出した個性が欧州の顧客に評価されている」と語っていた。ドイツでは昨年、自動車専門記者らで構成する審査員が選ぶ「ドイツの今年の車」に選ばれた。審査委員長は「アイオニック5はデザインとエネルギー効率、走行性などいずれも優れていた」と評価した。さらに今年4月には「2022ワールドカーオブザイヤー」を受賞し、世界で高く評価されていることを示した。

 現代自動車は2001年に日本市場に初進出。翌年にサッカーの日韓共催ワールドカップを控え、韓国への関心が高まりつつある時期だった。「ヒュンダイを知らないのは日本だけかもしれない」と挑戦的なキャッチコピーの下、「ヒュンダイ・ソナタ」や「ヒュンダイXG(韓国名・グレンジャーXG)」などを販売したが苦戦。2010年に完全撤退した。日本進出中に販売した自動車台数は約1万5000台にとどまった。

 日本の乗用車市場は自国ブランドが90%以上のシェアを持っており、開拓することは容易ではない。それだけに韓国メディアは日本の自動車市場について、しばしば「韓国車の墓場」と表現する。

 5月から日本市場で受注開始したアイオニック5だが、やはりと言うべきか、現在までのところ苦戦を強いられており、受注開始から2か月間に販売した台数は10台ほどにとどまっている。

 こうした中、現代は20日、「MKタクシー」を運行するタクシー会社、エムケイに「アイオニック5」を供給する契約を結んだことを明らかにした。エムケイ京都に、来月から50台を順次納車する予定。エムケイは1960年、在日韓国人の故ユ・ボンシク(青木定雄)氏が創業した「ミナミタクシー」を母胎とする。77年に桂タクシーと合併して現社名となった。「MK」はミナミタクシーと桂タクシーの頭文字を取った。東京(東京エムケイ)、大阪(大阪エムケイ)、愛知(名古屋エムケイ)、札幌(札幌エムケイ)など、全国展開を図っている。サービスには定評があり、かつて米国の時事週刊誌「タイム」に「世界最高のサービス企業」として選定されたこともあった。現代が2001年に日本市場に初進出した際は、現代のチョン・モング名誉会長がユ氏に事業協力を提案したこともあった。

 エムケイは今年2月、LRガスタクシーの運行を終了。各営業所に電気自動車の急速充電器を設置するなど、脱炭素化の流れに合わせて電気自動車への転換を進めている。アイオニック5は広い車内空間、前席のリラックスコンフォートシート、後部座席の電動スライドシートなどを備えており、現代はタクシー車両に採用されたことで、乗客に対し快適な「ムービングラウンジ」を提供できるものと自信を示している。また、1回の充電で最大618キロ走行が可能で、騒音や振動も少ないため、運転手の疲労も軽減できるものと期待されている。

 「乗りものニュース」によれば、エムケイがアイオニック5を選んだ決め手となったのも、やはり車内空間の快適さや航続距離の長さなどだったという。

 「『韓国車の墓場』日本でアイオニックタクシー走る」との見出しで記事を掲載した韓国紙・ハンギョレ新聞は、「今回のアイオニック5の供給が、現代自動車の日本進出の成否を分ける分岐点となるのか注目される」と伝えている。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3