記念式典であいさつする権氏=4日、ソウル(聯合ニュース)
記念式典であいさつする権氏=4日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国統一部の権寧世(クォン・ヨンセ)長官は4日、南北共同声明の発表から50周年の記念式典に出席し、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は歴代政権の全ての南北間合意を尊重するという基本を守りながら、持続可能な南北関係発展の新たな道を開く」との考えを示した。

 1972年7月4日に韓国と北朝鮮が発表した南北共同声明は、自主、平和、民族大団結を統一の3大原則とし、武力によらない平和統一や南北交流促進を目指すとうたっている。

 権氏は「南北の対話が途切れており、ミサイルと核を前面に押し出す北朝鮮の態度も変わらないが、このような時ほど基本に戻ることが重要だ」と指摘した。

 また、対話と合意で南北関係を進展させるという南北共同声明の共通認識は、これまで南北関係を導いてきた基本精神だと評価。1991年の南北基本合意書、2000年の南北共同宣言、07年の南北首脳宣言(10・4宣言)、18年の板門店宣言、同年の平壌共同宣言までその精神が脈々と受け継がれていると強調した。

 権氏は、南北共同声明からの50年間に南北間では680回の会談が行われ、230件の合意書が締結されたとしながら、協力がうまくいかない原因として北朝鮮の核開発とこれに対する制裁、協力事業の中止などを挙げた。

 その上で、南北が再び対話の糸口を見いだして南北関係に新たな生命力を吹き込むには、北朝鮮の核開発問題を実質的に解決し、これに基づき新たな好循環構造を作らなければならないと強調した。

 一方、北朝鮮が完全に核を放棄しない限り全ての南北関係を断絶すべきだとのアプローチも正しくないとして、このような極端な態度は韓国の国益や北朝鮮非核化にとっても障害物になると指摘した。

 権氏は「南北関係は前に進むべき時は果敢に進まなければならない」として、南北協力分野では「単純な人的往来、共同調査と研究、基礎設備が必要な事業から投資が必要な大規模事業まで多様なレベルと方法があり得る」と説明した。

 このために必要なこととして▼対北朝鮮政策の超党派による合意▼国際社会の共通認識▼北朝鮮当局の信頼確保――などを挙げ、「目先の成果にとらわれず、北の当局も信じてついてくることができる対北政策を推進しなければならない」と強調した。

 権氏は南北会談の構造も積極的に変化・発展させなければならないとして、「南北会談が実現すれば北の非核化と政治・軍事的信頼の構築などを必ず交渉のテーブルに乗せなければならない」と述べた。

 また、南北間の交渉は続いているが、合意の履行という観点では事実上進展がないとして、南北が核をはじめ安全保障問題などを正面から扱えば、経済協力をはじめとするさまざまな協力策もより大枠で発展させられると期待を示した。

 このために、政府は非核化と政治・軍事的信頼構築、経済などの協力を実効的に話し合う新たな会談を構築するとして、北朝鮮に対して韓国との交渉と核に関する交渉を分離する古い慣行を変えるよう求めた。

 権氏は「政府はどのようなテーマであれ北と論議する準備ができており、私もどこでも駆けつけて対話する考えだ」として、北朝鮮に対し改めて対話の再開を呼びかけた。


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