毎年4月の最終週は、WHOが指定した「世界予防接種週間」である(画像提供:wowkorea)
毎年4月の最終週は、WHOが指定した「世界予防接種週間」である(画像提供:wowkorea)
毎年4月の最終週は、WHO(世界保健機関)が予防接種の重要性を改めて認識するために指定した「世界予防接種週間」である。「予防接種」とは、我々の体が病原体に感染する前に、「ワクチン」すなわち病原性を除去したり弱化した病原体を体に注入し、これを通じて免疫細胞が抗体を形成する過程である。

人類初の近代的ワクチンは、エドワード・ジェンナーが1796年に開発した天然痘ワクチンである。天然痘は、かつて致死率が40%に達したほど致命的な疾患で、1000年を超える期間に約10億人を死に至らしめたものと推定される。

しかしその後20世紀に入りWHOの主導の下、全世界に天然痘ワクチンが普及され、1980年WHOはついに天然痘の完全な撲滅を宣言した。

大規模な予防接種の力により、天然痘は人類が初めて終息させた疾患となった。そして人類は、次の歴史的瞬間を目前に控えている。それは「小児麻痺」の完全な撲滅である。

「小児麻痺」は、小児麻痺ウイルスにより神経系が感染を受けることで起きる感染症で、おもに5歳以下の児童に致命的な身体麻痺を起こす。ジョナス・ソーク博士が1955年に初めてポリオ(小児麻痺)ワクチンを開発したが、1980年代までは毎年全世界の125か国で35件を超える小児麻痺の発病があった。

しかしWHO・国際ロータリー・米疾病予防管理センター(CDC)・ユニセフなどが1988年に発足させた「小児麻痺退治のためのグローバル・イニシアティブ」は、これまで約30億人の児童にワクチンを接種し、2021年には野生小児麻痺ウイルスによる発病国家はアフガニスタンとパキスタン・マラウイの3か国だけとなり、発病件数も6件だけが報告され、史上2番目の疾患撲滅が目前に迫っている。

しかし最近、マラウイで野生小児麻痺ウイルスの感染者が報告された事件により、あらためて「予防接種の重要性」を思い知らされた。マラウイで最後に小児麻痺の発病が報告されたのは1992年であり、2020年の8月にはアフリカ地域全体の小児麻痺撲滅が宣言されたからだ。政治的不安と国境地域の混乱に直面しているパキスタンから流入されたとみられるこの事例は「予防接種および監視活動に穴が開いた瞬間、人類がこれまで行なってきた努力は水の泡となってしまい、再び多くの人たちが苦痛を受けるおそれがある」ことを意味する。

このようなことから、予防接種を受けることは「個々人の人道主義的義務」であり、政府と様々な団体による予防接種の努力を支援し支持することは、全人類と未来世代の苦痛を減らす最善の方法であると確信する。

国際ロータリーのチョン・ジュファ(韓医師)小児麻痺退治コーディネーター

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