「先端科学技術とその核心人材は、覇権国となるための必須条件だ」ということを歴史が証明している。
科学技術力・軍事力・経済力の三位一体は、覇権国の前提条件である。米国の先端科学技術の根幹となる国防高等研究計画局(DARPA)は1958年、軍事技術力強化を目的に国防省傘下機関として発足したが、その技術を民間企業に移譲して産業化させたことで、米国は先端産業をリードする経済強国になった。インターネット・GPS・音声認識技術・自動運転車・ドローンなど、世の中を変える革新技術がこのように誕生した。
今、米国の覇権に中国が挑戦している。ドナルド・トランプ政権当時に始まった米中貿易戦争につづき、ジョー・バイデン政権は世界的供給網を再編するなど、中国に圧力をかけている。米国が危機意識を感じたからだ。「2030年を前後として、中国が米国のGDP(国内総生産)を超えるだろう」と研究機関たちが予測している中、AI・量子コンピュータなど先端科学技術分野で両国は激戦を繰り広げている。
中国が米国の経済規模を超える8年後、はたして韓国の産業競争力はどうなっているのだろうか?韓国銀行が最近発表した “国内主要新成長産業のグローバル競争力およびリスク要因の評価”によると「半導体・ディスプレイ・二次電池など韓国の新成長産業分野で中国との技術格差が狭まり、収益性と革新性の側面で韓国の競争力が低い」と分析された。過去のどの時よりも科学技術に集中し、韓国の未来の競争力を強化しなければならない時である。
科学技術の覇権競争は、結局「人材戦争」だ。かつての覇権国たちは科学技術の発展のために、宗教・国籍・人種などを差別しない開放性・包容性・柔軟性のある政策により人材を吸収した。中国は千人計画・万人計画政策をはじめとした破格的待遇により、国内外の革新人材たちを吸収し、人口大国から人材大国に生まれ変わり、米国に立ち向かっている。「グローバル人材戦争時代において、韓国の人材戦略はどうなっているのか」冷静に振り返ってみる必要がある。
韓国は、政府の支援費を受ける研究・開発(R&D)プロジェクトの98%が「成功した」という。「研究支援費の出るプロジェクト・成功の確率の高いプロジェクトだけを選んでいるためだ」という指摘だ。失敗のリスクがあまりにも大きいため、挑戦する意欲の湧かないプロジェクトだけ選んで支援する米国のDARPAとは対照的である。DARPAのプロジェクトの成功率は5~10%にすぎないが「確実な未来のために投資する」というかたちをとっている。果敢な挑戦の失敗に拍手を送るより、小さな成功に陶酔する社会・「失敗」という烙印を押されることが怖くて挑戦できない社会・価値中心型創業よりも生計型創業が主となる社会では、韓国の未来はどこに向かうのか疑問だ。
韓国スンミョン(淑明)女子大学のキム・マンギ中国文学部教授・(株)フューチャージョブ代表
Copyright(C) herald wowkorea.jp 96

