円とドル紙幣(資料写真)=(聯合ニュース)
円とドル紙幣(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】急速に円安が進んだことで、韓国の産業界に緊張が走っている。主力輸出品が一部重なる日本の円安により韓国の輸出競争力が低下するのではないかとの懸念からだ。 円は先週、1ドル=122円40銭台となり、2015年12月以来、約6年3カ月ぶりのドル高・円安を記録した。これにより25日にはウォンに対しても100円=1000ウォンを割り込む円安が進んだ。 円はこれまで代表的な安全資産とされ、戦争や自然災害などの際には円高となったが、今回はロシアのウクライナ侵攻など地政学的リスクが高まるなかでも円安が進んでいる。 米国をはじめ世界各国がインフレ緩和のために利上げを実施しているのに対し、日銀は金融緩和を続ける姿勢を取っているため、円安傾向はしばらく続く見通しだ。 これまで円安は日本の輸出企業にとって恩恵となり、韓国にとって不利と考えられてきた。実際に2010年代に1ドル=80円台だったドル円レートが、1ドル=120円台まで円安が進んだことで韓国の輸出企業は苦戦した。 ただ最近の円安については、それほど韓国の脅威にならないとの意見が多い。 円安と原油価格の上昇が同時に進んでいるため、エネルギーのほぼ全量を輸入に頼る日本の経済にとってむしろマイナスに作用するとの見方からだ。 ハナ金融投資のアナリストは、地政学的リスクによる国際原油価格と天然ガス価格の上昇により日本の貿易赤字が急速に拡大していることに触れながら、「円安で日本経済はしばらく苦しく、日本企業のマージンも減る可能性が高い」と指摘する。 ただ、円安が今年後半まで長期化することになれば韓国の一部業種にとって被害が及ぶとの懸念の声が上がる。 日本企業と競合する石油化学、鉄鋼、機械、自動車などの業種は円安が競争力の低下につながるからだ。 新韓投資証券のアナリストは「円安の長期化で鉄鋼や機械などが被害を受ける恐れがある。ただ需要が高い石油関連業界や自動車業界への影響は限定的になるだろう」と話した。 韓国の輸出1位の半導体など電子機器への影響もほぼない見通しだ。通信機器は日本より韓国の方が競争力に優れており、半導体も韓国がメモリー分野に、日本がシステムLSI(大規模集積回路)分野に注力しており、競争関係でなく相互補完的な関係になっているためだ。 造船に関しては、競争関係だが韓国企業は製品の差別化で競争力が高いことから被害は少ないと思われる。むしろ円安により日本に依存している部品のコストが下がることで有利に働くとの見方も出ている。
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