韓国政府の支出が現在の勢いで続けば、2029年には国家債務が2000兆ウォン(約194兆円)を超えるだろうという、国会予算政策処の見通しが発表された。国家債務は来年、史上初めて1000兆(約97兆円)ウォンを超える見通しだが、「国家債務1000兆ウォン時代」に突入してから、たった7年で2000兆ウォン時代に入るほど、財政の健全性が早期に悪化する可能性がある。

 2日の朝鮮日報によると、国会予算政策処の「2021~2030中期財政展望」によると、韓国政府の政策基調が続くという「現状維持」のシナリオで分析した結果、国家債務は来年1072兆6000億ウォンを記録する。 2026年には1575兆4000億ウォンで1500兆ウォンの大台を突破し、2029年には2029兆5000億ウォンになることが分かった。

 このシナリオ通りなら、国内総生産(GDP)対比国家債務比率は、来年50.4%から2025年(61%)には60%台に跳ね上がった後、2028年(71.6%)には70%を突破することになる。国家債務が2198兆8000億ウォンと見込まれる2030年には、GDP対比国家債務比率が78.9%で、80%に迫る見通しだ。

 韓国政府の財政赤字幅も大幅に拡大する。国家収入から支出を差し引いた統合財政収支は来年、61兆9000億ウォンの赤字を記録した後、2026年には85兆9000億ウォンへと膨らむ。2029年には104兆ウォン、2030年には112兆ウォンまで急増する。GDP対比統合財政収支の赤字比率も、来年は2.9%減から30年4.0%減へと拡大される。

 このような財政状態の中でも、与党の大統領候補が「災難支援金」を全国民に支給するべきだと発言し、物議をかもしている。

 3日、東亜日報によると、災害支援金の支給方式を巡り、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)大統領候補と政府との意見が食い違い、政府と与党間の対立へと広がる兆しを見せている。政府は経済的打撃を受けた小商工人を中心に「選別支援」に重きを置く一方、李候補は国民の生活を強調し、「全国民支給」を主張している。

 キム・ブギョム(金富謙)首相が、「今すぐは(全国民に支援する)余力がない」と事実上「反対」の意思を示したが、李候補は党中央選挙対策委員会の第1回会議で、全国民の災害支援金を追加支給する必要性を繰り返し強調した。

 そうした中で、国家債務に対して、有識者からも懸念する声が上がっている。

 1日、イーデイリーによると、ソウル市立大税務学科のキム・ウチョル教授は来年度予算案について1日、「新型コロナ以前から拡大基調に転換した財政が、国家債務を大きく増加させている」とし、「予算削減や歳入増大を通じて財政赤字を減らすべきだ」と主張した。

 キム教授はこの日、国会で予算決算特別委員会が主催した2022年予算案及び基金運用計画案関連の公聴会に出席し、「GDP対比国家債務比率が60%を超えれば、国債発行利子率が増える。来年から金利が上向きになる可能性が高い状況で、加算金利まで加われば低金利水準で受けていた恩恵がすべて消え、今後負担になる」とし、「そうした側面で、今の赤字は私たちが耐え難い水準」と述べた。

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