ガソリンスタンドに設置された尿素水セルフ注入機(画像提供:wowkorea)
ガソリンスタンドに設置された尿素水セルフ注入機(画像提供:wowkorea)
ディーゼル車を走らせるのに必要な尿素水が品薄になっている。尿素水の主原料である尿素を供給する中国が、15日から輸出貨物標識(CIQ)義務化制度を施行し、事実上輸出制限したためだ。尿素水メーカー各社は、中国以外の尿素生産国に対して急きょ輸入を要請したが、中国の制限緩和なしに事態を解決するのは困難だと見られる。

物流業界によると31日、国内の尿素水の価格は、中国が尿素の輸出を制限してから2週間で5倍以上高騰した。尿素水の入手が困難になり、オンライン中古取引サイトでは普段国内のガソリンスタンドやマートなどで1万ウォン前後で売られていた10リットル入りの尿素水1本が5万ウォンを超える価格で取引されている状況だ。

尿素水はディーゼル車が排出する窒素酸化物(NOx)を減らす「選択的還元触媒装置(SCR)」に使われる触媒だ。SCRは車が走行する時に発生する排出ガスに尿素水を噴射し、大気を汚染する窒素酸化物を水と窒素に還元する。欧州の排出ガス規制基準である「ユーロ6」導入後、SCRを適用したディーゼル車が増え、尿素水の需要が急増した。

しかし最近、中国が尿素輸出に歯止めをかけ、国内の尿素水市場は混乱に陥った。中国は尿素の原料であるアンモニアを主に石炭から抽出してきたが、最近、石炭価格の高騰により尿素価格が上昇した。さらに中国国内の電力不足により、尿素工場の稼働率が低下して在庫が減り、中国政府はまず自国市場の安定化のために輸出制限をかけた。

尿素水の製造に使われる尿素の半分以上を中国から輸入していた国内の尿素水メーカー各社は対応に追われた。韓国貿易協会によると、昨年時点で韓国は尿素輸入の66%を中国に依存していた。特に尿素水の製造用に使われる尿素は中国からの輸入量が全体の88.5%に達する。

ディーゼル車が大半を占めている貨物車のドライバーらも非常事態となっている。尿素水なしでは排出ガスの基準を満たすことができず、一部の車は尿素水が不足するとSCR内の噴射装置が故障したり、エンジンがかからなかったりするなど、運行に支障が出る。16トンの貨物トラックを運行するAさんは「2日に10リットルの尿素水が必要だ」と話し、「尿素水がないせいで仕事がストップすることを考えると、家長としてはとても大変だ」と話した。

尿素水をあらかじめ確保しておこうとするディーゼル車の運転手も増えている。このため、ガソリンスタンドや大手スーパーなどで尿素水を買い占める現象も起きている。一部のガソリンスタンドでは、既存の取引先やガソリンを入れた客に限って尿素水を販売するという条件を掲げており、いくつかのオンラインショッピングモールでは、10リットル入りの尿素水1本が10万ウォンを超える高値を設定している。

業界関係者は「尿素の需給に問題が生じ、備蓄した在庫が少なくなり、需給交渉力が弱い中小企業を中心に尿素水の価格引き上げがドミノのように広がっている」と語り、「今月中旬から10リットル入りの製品を1000~1500ウォン引き上げ、出庫数量を制限するなどの現象が起きている」と述べた。

国内メーカーは尿素供給策に乗り出したが、短期間で問題を解決するのは容易ではない見通しだ。業界の別の関係者は「中国以外の尿素生産国に輸入を緊急要請したが、中国から尿素を輸入していた国がすべて在庫不足で、物量確保が難しい」とし、「在庫不足による原価上昇と長距離物流費用など急激な値上げ要因が発生するものとみられる」と予想した。

さらに、尿素水の品薄現象で運行に支障を来たしているディーゼル車の中には中大型貨物車が多く、物流の混乱が懸念されている。また別の業界関係者は「政府は中国以外の供給先を探しながら尿素の供給が正常化するまでディーゼル車に限って窒素酸化物排出規制を一時的に緩和する案についても考慮すべき」と強調した。
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