故キム・イルソン(金日成)主席と2代目の故キム・ジョンイル(金正日)最高指導者の巨大な銅像(画像提供:wowkorea)
故キム・イルソン(金日成)主席と2代目の故キム・ジョンイル(金正日)最高指導者の巨大な銅像(画像提供:wowkorea)
北朝鮮が22日、日本の竹島(韓国名・独島)領有権主張に対応するための会議を開いたことを明らかにした。

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韓国紙・イーデイリーによると北朝鮮の外務省は同日、ホームページに「朝鮮の東海(日本名・日本海)海洋圏を固守するための協議会進行」と題する文書を掲載し、前日に開かれた会議について伝えた。

会議は、朝鮮人民軍総参謀部、国土環境保護省、外務省をはじめとする関係機関と専門家が参加して開かれたという。北朝鮮外務省は文書で「われわれの海洋圏を固守するための対策的な問題について慎重に討議された」と説明した。

ただ、具体的な会議の内容や出席者などについては明らかにされなかった。

竹島は、韓国が実効支配をしながら領有権を主張し日韓の火種となり、竹島をめぐる日本の動きに対して事あるたびに反発を見せている。北朝鮮も竹島に関しては、日本に批判を続けている。関係悪化が続く韓国と北朝鮮だが、竹島の領有権に関して南北が対立することはなく、北朝鮮は「わが民族固有の領土」と主張し、韓国と足並みを合わせるように日本に対して領有権を主張している。

2018年に韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が北朝鮮を訪問した際には、北朝鮮の管弦楽団が北朝鮮歌謡の元の歌詞を変えて「独島もわが祖国」と歌い、日本との領土問題に対して南北団結をアピールする演出を行った。

2014年に北朝鮮で発行された竹島の地図が描かれた切手には、「朝鮮の島・独島」と明記されている。

今年に入っても北朝鮮は、韓国に追随する形で日本の竹島領有権主張に批判を繰り返してきた。

日本の外務省が4月、日本外交の方針や国際情勢をまとめた「外交青書」を公表した際には、竹島を「日本固有の領土」と明記した記述に北朝鮮が反発。北朝鮮の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」は外交青書の公表から約2週間後の5月10日、「先日、日本政府が2021年外交青書というものを発表し、独島を強奪しようとする凶悪な下心を再び出した」と批判した。

また、東京五輪・パラリンピックの公式ホームページの地図に竹島が表記されていることに韓国が反発したが、北朝鮮も6月4日、朝鮮中央通信が「平和理念への愚弄(ぐろう)であり、わが民族の自主権を蹂躙(じゅうりん)する容認できない挑発だ」とする論評記事を掲載した。

北朝鮮オリンピック委員会も7月16日、報道官談話で「こうした行為は全世界の体育人と人類の平和の念願に対する愚弄であり、わが民族の自主権を蹂躙(じゅうりん)する、容認できない挑発」と非難。日本側に修正を求めたほか、国際オリンピック委員会(IOC)に対しても「これを黙認・助長した国際オリンピック委員会の責任も問わざるを得ない」と対応を批判した。

2018年のピョンチャン(平昌)五輪では、南北合同チームが開会式で竹島が縮尺より遥かに大きく描かれた「統一旗」を掲げて入場しようとしたがIOCがこれを認めず、選手団は竹島なし(縮尺どおりで見えない)の統一旗で入場した。

これに北朝鮮は韓国に対しても不満を向け、朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は開幕後に掲載した記事で「言葉だけで独島が私たちの領土だと示すのではなく、外部勢力の交渉と圧力に堂々と対抗して行動で独島を守る意志を示すべきだ」と韓国政府に求めた。

この際も「私たちの領土」と表現した北朝鮮。南北をめぐっては先月27日、13か月ぶりに通信連絡線が復旧し、関係改善の糸口となるか期待されたが、今月10日の夕から北朝鮮は応答せず、再び不通となっている。米韓軍事演習の実施が影響したものとみられている。

南北は関係改善の展望が開けぬ中、唯一足並みを揃えられるのが、島の領有権主張ということだ。黄海(韓国の西の海)の海域に関しては熾烈に韓国に対抗している北朝鮮だが、竹島・独島に関しては北朝鮮は「北朝鮮の領土」ではなく、「私たちの領土」として”国家”ではなく”民族”の領土と主張するのは、日韓での竹島・独島論争の誘発が韓国と日本との仲を悪くするため重要な要素であるからだと思われる。

北朝鮮の最高指導者キム・ジョンウン(金正恩)氏の祖父である故キム・イルソン(金日成)主席は、1972年から「冠の紐戦術」を力説していた。「南朝鮮(韓国)という冠は米国と日本という2つの紐により維持されている。2つの紐の中、どちらか1つでも切れたら、南朝鮮は崩壊する」という戦術だ。

それから約50年。コロナ禍で膨大な赤字を我慢しながらオリンピック・パラリンピック開催の約束を守ってきた日本。選手村の食事や段ボールベッドや剥がれる金メダルなど、何とかしてマウントをとりたがる韓国。竹島・独島の論争や慰安婦・徴用工の問題は言うまでもなく、共産主義革命家であるキム主席の戦術は、彼の思惑どおり進んでいるようだ。

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