韓国の地上波テレビ局MBCによる東京五輪開幕式の中継が、韓国内で大きな批判を浴びている。

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韓国のMBCは23日に東京オリンピック開会式を生中継。各国の選手団の入場時、画面左側に画像とテロップで国を紹介した際、ウクライナの紹介で、1986年に事故が起きたチェルノブイリ原発の写真を表示し、「平和の祭典である五輪での国紹介には不適切」との声が上がった。

また、カリブ海の島国・ハイチの選手団の入場時には「大統領暗殺で政局は霧の中」とのテロップを表示。ハイチは日本の大阪なおみ選手の父親の出身国としても有名だが、ジョブネル・モイーズ大統領が今月7日、首都ポルトープランスの自宅で武装集団に襲われて死亡している。テロップは大統領が暗殺され、混乱の最中にあるハイチの現状に触れたものだが、視聴者から「国の説明に、政治的混乱を入れる必要があるのか」などと批判が上がった。

他にも、中米エルサルバドルの紹介でも不適切なテロップが表示されたと指摘されている。さらに、国別の新型コロナウイルスのワクチンの接種率も表示し、視聴者からは「オリンピックとワクチン接種率は関係ない」などと疑問の声が多く上がった。

ネットでのリアルタイムな反応を受け、生中継の最後に、アナウンサーが謝罪したほか、翌日にはテレビ局MBCが陳謝する内容の公式のコメントを発表。さらに26日には、パク・ソンジェ社長が「参加国に対する配慮が欠けていた放送で、傷ついた該当国の国民と失望した視聴者の皆様におわび致します」と謝罪した。

放送局MBCは韓国全土を地上波で放送エリアとしている。韓国政府は間接出資し、半官半民のテレビ・ラジオ兼営放送局とされる。しかし、韓国で政権が変わる度に政権寄りの経営陣に変わっている様子も見られる。公共放送KBSと民間放送SBCとともに韓国の3大地上波テレビ局の一つだ。

NHKで放送され日本でも人気を集めた韓国ドラマ「チャングムの誓い~大長今」、「イサン」、「トンイ」や、日本の民放で放送されて大人気となったドラマ「朱蒙(チュモン)」などもこの放送局MBCの制作・著作。

今回の中継には、ロシア出身で、韓国に帰化し、人気コメンテーターとして韓国の番組に出演するイリヤ・ベルリャコフ氏も批判。ツイッターで「米国の時には9.11テロの写真を入れるのか?一体、どれだけ無知なら爆発した原発の写真を入れようと思うのか」と怒りをあらわにした。

韓国には大統領府(青瓦台)のホームページで国民からの要望を受け付ける「国民請願」という制度があり、1件の請願に対し、30日以内に20万人以上の同意があった場合、政府や大統領府関係者が回答をすることになっている。

今回の放送を受けて、「MBC五輪開幕式中継に対する調査をお願いします」というタイトルの請願が上がった。請願の発起人は「各種法律に即して調査し、法律違反が確認されれば、放送制作者だけでなく、MBC経営陣にまで厳罰を科し、放送の正常化をお願いしたい」と求めた。

しかし、韓国MBCによる、五輪開幕式中継での不適切な国紹介は今大会が初めてではないという。韓国メディア・イーデイリーによると、2008年の北京五輪の際も、太平洋中部に位置するキリバスの紹介で「地球温暖化で島が沈んでいる」としたほか、アフリカ南部のジンバブエについては、「殺人的なインフレーション」と紹介したという。

また、アフリカ中部のチャドは「アフリカの死んだ心臓」と説明し、視聴者らから批判を浴びたという。MBCは当時、この生中継で韓国の放送通信審議委員会から「注意」の懲戒処分を受けている。

何故このような事が起きるのか。歴史的に長く続いていた小中華思想や儒教的な序列意識が、その原因の一つと思われる。日本や東南アジアの諸国を冊封体制の格下と認識していたその意識から見ると、アフリカや南米や東欧の諸国はその末端となるからだ。

特に日本に対しては、111年前に統治されていた過去の屈辱による劣等感を克服する過程で、常に日本を貶めてマウントをとろうとする習慣が身に付いた。その中、韓国の色々なメディアが「倫理意識」を失ってしまった状態。

しかし、希望はある。今回の件は、韓国国民の「自覚」により修正されつつあるからだ。生放送の途中、倫理意識を持つ韓国人の方がネットで騒ぎ、テレビ局の歪んだ倫理意識に警鐘を鳴らしたわけだ。

このような件を通じて、韓国メディアの倫理意識の麻痺や敗北感の呪術が少しずつ解き放されるならば、当たり前のように行われている韓国メディアの反日キャンペーンも「自覚」により批判される日が来るかもしれないからだ。
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