東京五輪・パラリンピック組織委員会で働くイ・ジュソンさん=15日、東京(聯合ニュース)
東京五輪・パラリンピック組織委員会で働くイ・ジュソンさん=15日、東京(聯合ニュース)
【東京聯合ニュース】「スポーツはそんなに好きではありませんでしたが、(韓国が2011年に)平昌冬季五輪を招致した時に生放送を手掛けたことで、国際スポーツイベントの魅力を知りました」――。

 18年2月の平昌冬季五輪で大会を取材する世界のメディアの拠点となったメインプレスセンター(MPC)の運営チーム長を務めたイ・ジュソンさんと、東京五輪の開幕を1週間後に控えた東京都内で会った。

 イさんは今、東京五輪・パラリンピック組織委員会のユニホームを着て、今大会のMPC運営副チーム長(Deputy Manager)として働いている。日本人がチーム長を務め、イさんは外国メディアを主に担当するポジションにいる。

 イさんは平昌冬季五輪に続き、19年に韓国南西部・光州で開かれた水泳の世界選手権でもメディアセンターの運営を担当した。東京五輪の組織委にも加わり、プレス運営分野の専門家としての地歩を着実に固めている。

 以前は韓国のニュース専門テレビ局YTNでキャスターを務めていた。元々、国際的な業務に携わりたくて通訳関係の仕事を探していたところ、平昌五輪の組織委員会が人を募集していると知り、スポーツイベントの仕事に挑戦することになった。

 今年6月から日本で東京五輪の準備に当たっている。驚かされたのは、日本人の準備の徹底ぶりだった。

 イさんは、新型コロナウイルスの影響で1年延期された初めての五輪となるため準備には柔軟性が求められるが、日本人にはこれが足りない面もあると指摘する。不要にも思える文書作成作業が多く、他の外国人職員も苦労することがあるという。

 それでも「徹底して原則通り、計画的に準備を進めており、さらに他の五輪より1年長い5年の期間があっただけに、準備もしっかりできている」と、開幕を控えた組織委の様子を伝えた。

 通常、夏季五輪では取材陣の数を直前の冬季五輪の2倍程度と見積もるという。

 イさんによると、平昌大会では3000人程度だったため今大会は6000人程度と予想したが、登録したのは5000人ほどで、実際に取材に来る記者はさらに減る可能性が高い。今大会は、取材の面でも過去とは大きく異なる。記者がオンラインでアスリートに質問できるようになり、通訳もプレスセンターからリモートで行うことになるという。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、これまでは大会ごとに250人程度の通訳者が必要だったが、今大会はオンライン記者会見の増加で150人程度に減ったと明らかにしており、イさんは「コロナ収束後も新たなスタンダードとして定着する変化が試される大会になる」と予想した。

 開幕が1週間後に迫ってもなお、日本国内で五輪開催に反対する声が強いことについては、「他の大会なら組織委の職員やボランティアが外でもユニホームを着るが、今大会は周りのそうした視線を気にして外に出るときは私服に着替える人が多い。開幕が近づいても大会のムードが盛り上がらないようだ」と残念がった。一方で、「事実上の無観客大会となるなど過去とは違う形の五輪になる可能性が高いが、それでも五輪が開かれること自体が世界の人々にとって希望になるだろう」と意義も語った。

 22年には北京冬季五輪をはじめ、サッカー・ワールドカップ(W杯)、アジア大会など大型のスポーツイベントが控えている。

 北京冬季五輪にも行くのでしょうと水を向けてみると、イさんは準備・大会期間に家族と長く離れて暮らすつらさを口にしながらも、「国際大会のプレス運営分野で最高の専門家になることが夢。中国に行けば隔離期間が3週間らしいですね」と、意欲をのぞかせた。


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