東京五輪に合わせて韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が訪日する意向を伝えていたとの報道が出たのは6日のことだった。産経新聞と系列のフジテレビが報じた。

これに対し同日、韓国大統領府「青瓦台」の関係者は「決まったことは何もない」と述べた。

また、加藤勝信官房長官は同日の定例の記者会見で「各国首脳の五輪開会式および五輪への出席については、国際オリンピック委員会(IOC)と各国のオリンピック委員会の間で調整が行われていると承知している」とし、「韓国においても同様の調整が行われていると承知しているが、現時点で大統領が訪日するといった通報があるわけではない」と述べた。

産経新聞、フジテレビの報道に先立ち、読売新聞は先月15日、ムン大統領が東京五輪に合わせて来日する方向で、日韓両政府が調整していることがわかったと報じた。

この報道がされた際にも、加藤官房長官は「ご指摘の報道にあるような事実はない」と否定した。

約20日間の間にムン大統領の訪日の可能性を伝える報道が2度にわたって出たが、先月と今回の報道がいずれも事実ならば、この間に「来日する方向で調整」から「韓国政府が意向を伝えた」に進展した様子がうかがえる。

今回の報道について、6日の時点では大統領府関係者から「決まったことは何もない」と否定しているようにも取れる発言があったが、7日には「日韓首脳会談とその成果が予見されるなら訪日を検討できる」と、一定の成果が見込めることを条件に挙げ、事実上、訪日を検討していることを認める発言が出た。

また、大統領府のパク・スヒョン国民疎通首席秘書官は「私たちは最後までオープンな姿勢で臨んでいる。日本政府が返事をくれるべきではないか」と述べ、首脳会談開催を提案するアクションを日本側に求めた。

これらの発言からは、あくまで「日本が望むから」ムン大統領が訪日し、首脳会談を行うという方向に持っていきたい大統領府の思惑があるようにも見て取れる。

先月、英国で開かれた主要7か国首脳会議(G7サミット)の際には、ムン大統領と菅義偉首相があいさつを交わしたことが報じられたが、首脳会談には至らなかった。

これを受けて聯合ニュースは、韓国外交部(日本の外務省に相当)当局者の話として「日韓両政府は、G7サミットに合わせて略式の首脳会談を行うことで暫定合意していたが、日本側が一方的にキャンセルした」と伝えた。

この際も大統領府関係者は首脳会談開催に至らなかった原因を日本に向けたが、日本政府はこれについて否定。韓国側に抗議した。日本政府は、慰安婦問題や元徴用工による訴訟で、韓国側が解決策を示そうとしない中での首脳会談には慎重だった。

そして本日、日本経済新聞により菅首相とムン大統領との初首脳会談が報道されている。日本側15分案と韓国側の60分案が調整されているようだ。15分でも60分でも、通訳の時間などを考えると、意味のある首脳会談は期待し難い。

慰安婦問題も徴用工問題も1965年の約束と2015年の約束を破ったのは韓国側だ。韓国政府が責任を持って過去の約束を守れば、日韓問題の大半は解決される。

「約束を守らない韓国」の不名誉を払拭(ふっしょく)させるため、ムン大統領の決断を期待する。その話しならば、15分の時間も十分価値のある時間となる。来年の退任の後、支持率アップのために自国を嘘つきの国にしてしまった大統領との汚名は是非とも残さないでほしい。

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