韓国では、4月29日から東京五輪・パラリンピックに出場する代表選手らに、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まっている。

韓国選手団のワクチン接種対象者は計930人。このうち、選手とコーチ、30歳未満の対象者598人には、韓国で現在使用されている2種類のワクチンのうち、1回目と2回目の接種の間隔が短い米ファイザー製のワクチンを接種する。大会までの時間が限られていることを考慮しての措置だという。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領がファイザー製のワクチンではなく、副反応が噂されているAZ(アストラゼネカ)製のワクチンを接種したと発表・宣伝していることを考えると、確かに破格の措置ではある。

ちなみに、文大統領の第2次接種は第1次から4週間後であり、3か月間の接種間隔を標準とするAZではないとの「陰謀論」が韓国で広まっている。AZ製のワクチンは4週間の間隔で2次接種すると、抗体形成の確率が約55%と極端に低くなるからだ。

文大統領は米国訪問を理由としているが、ファイザー製ワクチンの大量確保に失敗し、大量確保できたAZ製は韓国国民に忌避されている実情を考えると、韓国で広まっている「注射器の差し替え説」「瓶ラベルの張り替え説」などは、中々良く出来ている陰謀論である。

話が戻るが、接種を終えた選手らは、韓国メディアの取材に「コロナを心配せず五輪の準備ができる」、「ワクチンを打つ前よりも気持ちが楽になった。最善のコンディションで大会に向けた準備をしていきたい」などと語った。

韓国では医療従事者などを除き、一般の若年層へのワクチン接種は始まっておらず、今回、五輪・パラリンピック関係者が優先接種される形となった。

選手団へのワクチン接種について、文化体育観光部(部は日本の省に相当)とコロナ対策にあたる疾病管理庁は、1月から協議を重ねてきたという。文化体育観光部は「コロナで大会が延期になるなど、困難な状況にある中、4年に1度の舞台のために努力している選手たちを応援したい。今回のワクチン接種が、選手たちの安全な大会参加のための土台になれば良い」としている。

一方、開催国の日本はといえば、選手団への優先接種に関して先月7日に「政府が検討」との報道が飛び交った。しかし、丸川珠代五輪相は「全く検討していない。現時点ではもちろん、これから先も具体的な検討を行う予定はない」と否定。「今のところ、ワクチンを前提にしない大会の準備をしている」とした。

現在、ワクチンの接種率が低い日本にあって、「ワクチン接種の順番は、第1に医療従事者、第2に高齢者、基礎疾患のある人」という基本的な考え方に割って入る形の意見はなかなか理解を得にくい。

実際、選手団への優先接種について、ネットでは「アスリート優先はおかしい。平等であるべきだ」、「ワクチンの順番は守って下さい。アスリートだから、五輪関係者だからは関係ありません」などと批判の声が上がっている。

しかし、出場選手らのワクチン優先接種の動きは韓国にとどまらない。ニュージーランドでは先月14日から始まったほか、オーストラリアや英国でも検討されている。米国にいたっては、ワクチン接種がかなり進んでいるため、優先するまでもなく、ほとんどの出場選手たちは7月23日の五輪開幕前に接種が可能になるという。

日本では選手団への優先接種には依然、反対の意見も多いが、韓国の選手団への優先接種が始まったことが報じられると、日本のネットユーザーから「すごい、対応が早い」、「ワクチン接種は本人たちを守るためにあるものだから、自国民の代表として送り込む側として優先接種させるのは正しい」、「日本はワクチン接種に関してもう少し柔軟性があっても良い気がする」との声も上がった。

日本は開催国として、コロナ禍の中で、安全に大会を開催する義務がある。そのためにはまず、主役である選手らの安全を守ることが求められる。

自民党の下村博文政務調査会長は先月14日、選手へのワクチン優先接種について、党内で検討する考えを示している。

他国が選手への優先接種を進めている中、開催国・日本としての今後の対応に注目したい。

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