左から創業者の故李秉チョル氏、李健熙氏、李在鎔氏(資料写真)=(聯合ニュース)
左から創業者の故李秉チョル氏、李健熙氏、李在鎔氏(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国サムスングループの経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が6日、経営権継承問題や労組問題について自ら国民に向けた謝罪文を発表し、経営権の継承について、かなり以前から考えていたとした上で「わが子たちには会社の経営権を譲らないつもりだ」と宣言した。継承問題は同グループ内でタブー視されてきた。 創業者の故李秉チョル(イ・ビョンチョル)氏から李健熙(イ・ゴンヒ)氏と続いた経営権の世襲を自身の代で終えると公の場で発言したことになる。 李氏は2016年12月に国会で開かれた聴聞会で「私よりも立派な人がいればいつでも経営権を渡す」と述べたが、自身の子への世襲についての立場を公の場で表明したのは今回が初めて。 李氏はまた、「性別や学閥、国籍を問わず外部から立派な人材を迎えること」が自身の責任であり使命と強調した。 同グループが時間をかけ、専門経営者による経営体制に移行していくことを念頭に置いた発言で、激しい競争の中で生き残るためには、最高レベルの経営が不可欠との認識によるものと受け止められる。 さらに李氏は「これ以上、経営権継承問題で論争が起きないようにする」と言明した。 サムスンは2015年にサムスン物産と第一毛織が合併する過程で、李氏が円滑に経営権を継承できるようグループレベルで系列会社が動いたとの疑惑が持たれるなど、サムスンを巡る問題は経営権の継承と関連しているとの指摘が出ている。李氏はこのような指摘を受け止め、今後はコンプライアンス(法令順守)を徹底するという明確な意思を示したと言える。 李氏は、違法行為はもちろん、倫理的に非難を受けるようなことはしないとし、「ただ会社の価値を上げることに集中する」と強調した。 また経営権の継承と関連し、李健熙会長が倒れてから、約6年にわたりサムスンを率いた経験に対する思いや、今後の抱負についても述べ、注目を集めた。 1991年にサムスンに入社した李氏は父である李健熙会長だけでなく、多様なグローバル企業の最高経営者(CEO)と交流し、サムスンの未来を準備してきた。 1987年に経営を引き継いだ李健熙会長が1993年に経営方針の転換を発表。いわゆる「新経営」が始まり、李氏はこの過程でサムスンが日本企業の下請けからグローバル企業に発展する姿を見届け、2000年代後半には本格的に経営に加わった。 李氏のこの日の宣言は80年のサムスンの伝統だけでなく、「韓国的情緒」とも果敢に決別して、サムスンの規模に合った最高レベルの経営でさらに高いレベルに飛躍する意思を示したものとみられる。 財界関係者は「自身の子に経営権を譲らないと明言したのは、権利を放棄するというより、サムスン跳躍のための新しい選択であることを強調したもの」とし、「サムスン順法監視委員会に対する回答ではなく、時代的な要求に対する回答であり、ビジョン」と評価した。 李氏の今回の謝罪は、サムスン順法監視委員会の勧告に従ったもので、同委員会は今年3月、サムスングループの経営権継承に絡む疑惑などについて総帥である李氏が謝罪するよう勧告していた。
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