昨年6月、板門店で握手を交わす南北首脳(資料写真)=(聯合ニュース)
昨年6月、板門店で握手を交わす南北首脳(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が今年に入り、北朝鮮との協力進展へ「スピード戦」に乗り出す姿勢を鮮明にしている。非核化に向けた米朝対話に集中するという昨年のスタンスを改めた形だ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日の年頭記者会見で「朝米(米朝)対話ばかり見守るのではなく、南北関係を発展させるべきだ」と、今年の対北朝鮮政策の推進方向を提示した。また、南北の協力を広げていけば、米朝対話を後押しするだけでなく、北朝鮮に対する制裁の一部免除や例外措置の承認に対する国際的な支持を得られるだろうと説明した。

 今年に入り、統一部や外交部など関係官庁の姿勢も大きく変わった。

 金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官は14日、宗教・社会団体トップとの会合で、「新年を迎え、政府は朝米関係が解決されるまで待つよりも、南北関係の改善に向けてできる措置を取っていく計画だ」と語った。

 政府は、今年は米朝の非核化交渉にとらわれるのではなく、対北朝鮮制裁下でも可能な南北協力をより積極的、迅速に進めていきたい考えのようだ。その背景には、昨年2月の米朝首脳会談以降、米朝対話に集中するという政府の戦略が実らず、むしろ南北関係の悪化まで招いたとの判断があると分析される。

 実際、北朝鮮は米朝首脳会談が物別れに終わった後、韓国政府が「外部勢力に依存」していると強く非難し、失望感をあらわにした。

 こうしたことから、政府は2018年の平昌冬季五輪への北朝鮮の参加を契機に進展した南北関係が米朝対話を後押ししたように、現在の膠着(こうちゃく)局面を打開するため「南北関係によるけん引」を再び試みるようだ。

 米国側にもこうした立場を積極的に説明しているとみられる。外交部の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長は15日、ビーガン米国務副長官との会談のため訪米するにあたり、「朝米関係が停滞している時期に南北関係を進展させ、朝米関係を促進する必要性も強く提起されている」と話した。

 鍵は北朝鮮が応じるかどうかだ。北朝鮮が18年に「対話の場」に出てきたのは、経済発展のため制裁緩和が必要だという内部の事情があったためとの見方が強い。

 だが、北朝鮮としては昨年すでに韓国政府の役割の限界を確認し、米国との「長期戦」を予告している状況でもあるため、韓国の呼び掛けに応える理由は多くないとの観測がある。

 一方で、北朝鮮はまだ今年の対韓国政策について具体的に発表していないことから、今後の情勢変化を見守りながら応じるかどうかを決定するとの見方も一部で出ている。


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