【ウィーン聯合ニュース】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は29日、北朝鮮が核兵器製造用物質の生産能力を高めるために新しい軽水炉建設を進めていると主張した。ロイター通信が伝えた。
 天野事務局長は同日に開幕したIAEA理事会に出席し、北朝鮮が軽水炉の工事を続けるとともに、関連主要施設の拡張を終えたと述べた。軽水炉の設計構造や稼動の時期については不明だとした。
 北朝鮮は電力供給のために原発が必要だと主張。自国の核抑止力を誇り、シリアやリビアなどと核技術の取引を行ってきた。
 軽水炉は寧辺の核施設で建設が進められている。ここでは5000キロワット級の原子炉と核燃料製造施設、使用済み燃料棒からプルトニウムを抽出する再処理工場も含まれている。
 北朝鮮は2003年に核拡散防止条約(NPT)を脱退。また米朝合意に背き、IAEAによる核施設の査察を拒否している。
 米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は今年5月、北朝鮮が昨年12月に中断した実験用軽水炉の建設を再開したと報じた。同サイトは軽水炉が完成すれば、毎年、核兵器1個を製造できる核物質の生産が可能だとした。
 米国の核専門家、デービッド・オルブライト氏は毎年、核兵器4個以上を製造できるプルトニウム(20キロ)を生産できると推定している。
 これと関連し、天野事務局長は「IAEAは衛星で北朝鮮のウラン濃縮施設を監視しているが、稼動は確認されていない」と話している。
 IAEAは今年8月、北朝鮮の軽水炉建設工事現場がドームで覆われているなどとし、「1年前より(工事が)大きく進展している」と報告している。
 またIAEAは9月に北朝鮮に核開発中断を要求するとともに、IAEAとの協力を北朝鮮に呼びかける決議案を採択している。
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