【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近とされる張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長の訪中を機に、北朝鮮が中国に低利の借款形式の巨額支援を要請したとの見方が出ている。
 近ごろ張副委員長の権力が強まっていること、北朝鮮の「新経済管理体系」施行直後の訪中、首脳レベルの大規模訪中団とそうそうたる随行員の顔ぶれなどが、その根拠だ。要請額は10億ドル(約790億円)とも、それ以上ともいわれている。
 中国の改革・開放初期の政策に似ていると評価される新経済管理体系の実務総括者であり、外資誘致窓口の合営投資委員会を「指導」しているとされる張副委員長の今回の訪中目的は、北朝鮮経済特区の黄金坪・威化島と羅先の中朝共同開発を加速化すること、そして北朝鮮経済再生に向けた資金を確保することとみられている。
 経済特区の共同開発については、中朝が14日に黄金坪・威化島と羅先にそれぞれ管理委員会を置くことなどで合意し、ひとまず道筋をつけることができた。
 ただ、資金の確保はそう簡単ではなさそうだ。張副委員長は13日に開かれた経済特区の共同開発を話し合う両国間の会議で、交渉相手の陳徳銘・中国商務相に新経済管理体系を詳細に説明し、これに対する「支援」をそれとなく求めた可能性もある。
 張副委員長の訪中に、元合営投資委員長の李秀勇(リ・スヨン)朝鮮労働党中央委員会副部長、李光根(リ・グァングン)合営投資委員長が同行していることも、支援要請説を裏付けている。李秀勇氏が北京で中国指導部との接触に奔走しているとの話もある。
 また、金正恩第1書記の体制発足後、北朝鮮による長距離ミサイル発射などで数か月にわたり冷え込んでいた中朝関係が、今月初めの王家瑞・中国共産党対外連絡部長の訪朝を機に好転しつつあることも、「カネの話」を持ち出すのに都合がいいとの見方もある。
 注目すべきは中国側の返答だが、まだこれといった反応はない。張副委員長は現在、吉林省・遼寧省の訪問に向かっており、北京に戻って胡錦濤国家主席や温家宝首相ら指導部と会談しながら中国側の反応を確かめることになりそうだ。だが、中国経済の勢いが弱まるなか、中国当局が北朝鮮への巨額支援にすぐに応じるかどうかについては、疑問視する声が強い。

Copyright 2012(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0