<W解説>海自艦が旭日旗掲げ釜山港に寄港へ=自衛艦旗掲揚問題の解決に期待(画像提供:wowkorea)
<W解説>海自艦が旭日旗掲げ釜山港に寄港へ=自衛艦旗掲揚問題の解決に期待(画像提供:wowkorea)
今月末に韓国で行われる多国間の海上訓練をめぐり、日韓両政府は、国際法に従って自衛艦旗である旭日旗を掲げて韓国・プサン(釜山)港に入港させる方向で調整していることが分かった。韓国国防部のチョン・ハギュ報道官は25日の定例会見で「自衛艦旗を掲げて(日本の海上自衛隊の艦艇が)入ってくるかどうか、今お話しすることはできない」と明言は避けたが、自衛艦旗の掲揚は「国際的な慣例ではないかと思う」と述べた。

韓国では旭日旗を日本統治時代の象徴と見る向きがあり、一部の韓国人たちは、「日本の侵略を受けた韓国などに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴」と主張している。

韓国ではこれまで、幾度となく旭日旗騒動が起こってきた。2021年に開かれた東京五輪を前にしては、2019年に韓国国会の文化体育観光委員会が、東京五輪の競技会場で旭日旗を持ち込んで応援することなどを禁じるよう、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会に求める決議を採択した。この問題に対しIOCは同年、韓国政府から旭日旗の持ち込み禁止を求める書簡を受け取った際、「五輪で問題が生じた場合はケースバイケースで対応を検討する」と返答。韓国では事実上、旭日旗の使用が認められたものだとして反発した。大会組織委員会も「旭日旗のデザインは日本国内で広く使用されているものであり、それ自体が政治的主張や差別には当たらないことから、持ち込み禁止には該当しない」と主張した。その後、東京五輪は新型コロナウイルスの感染拡大により無観客での開催が決まり、当時この決定を報じる韓国メディアの記事の中には、「(競技場で)旭日旗を見ることがなくなったことも幸いだ」と論評する記事も見られた。

旭日旗騒動は近年エスカレートしており、著名人が着ている服の柄や、企業の宣伝看板のデザインなど「旭日旗に似ている」という理由で一部の韓国人が問題提起することもあった。

一方、旭日旗に不快感を示す韓国人がいることを知ってか、日本人が挑発まがいの行動を取ることもあった。今年3月、東京ドームで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド・プールB第2戦、日本対韓国戦で、試合前のスタンドに日本人とみられる男性が「旭日旗」を掲げた。この行為を確認した韓国野球委員会(KBO)は主催者側に抗議した。

一方、自衛隊法などは、日本国籍を示すものとして旭日旗の航海中の掲揚を義務付けている。しかし、2018年10月に韓国南部・チェジュド(済州島)で開かれた国際観艦式で、韓国は日本に対し、海自の艦船に旭日旗を掲げないよう要請。日韓双方の主張に折り合いがつかず、結局、日本は海自艦の派遣を取りやめた経緯がある。

また、日本の海上自衛隊の創設70周年を記念して昨年11月に行われた国際観艦式をめぐっては、韓国海軍が日本政府からの招待にすぐさま参加の可否を回答せず、期限を越えて参加を決めた。海上自衛隊が掲げる旭日旗に対する国民感情を考慮して、参加を簡単には決められない状況となっていた。国防部は、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権になって自衛隊と韓国軍の交流再開を模索していることを考慮して、直前になってようやく参加の意思を表明した。

今月31日には、韓国の主催で日米韓などによる海上訓練が済州島の南東の公海で行われる。この訓練をめぐり、海上自衛隊の護衛艦が旭日旗を掲げて韓国の釜山港に入港することが分かった。実現すれば、韓国による自衛艦旗への対応が国際ルールに沿った形に戻ることになる。日韓両政府は現在、調整を進めており、複数の日韓両政府関係者が明らかにしたとしてこれを報じた読売新聞は「尹錫悦政権との間での日韓関係改善の流れを受けたもので、両国はさらなる防衛交流の促進につなげたい考えだ」と伝えた。また、産経新聞は「日韓防衛当局間の懸案だった自衛艦旗掲揚問題に一定の解決が図られることになる」と報じた。一方、韓国の聯合ニュースは「波紋が予想される」と伝えた。

日本で旭日のデザインは、旧日本軍に限らず大漁旗や社旗など幅広い場面で日常的に使われている。今回の海自艦の入港に関しても、冷静な受け止めが必要なのではないか。

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