(画像提供:wowkorea)
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毎年2月22日になると、韓国と日本のメディアは「日本の中央政府が地方自治体の島根県が主管する行事『竹島の日』に高官を派遣することにした」というニュースを伝える。報道に接した韓国人は怒り心頭といった反応をぶちまける状態になる。

 ところが日本の中央政府がどうして2013年2月22日からこのような行動に乗り出すようになったのか、その背景をきちんと教えてくれるメディアはあまり無いようだ。

 その決定的なきっかけとなったのは2012年8月10日、当時のイ・ミョンバク(李明博)韓国大統領による独島(日本名:竹島)訪問であった。そしてその独島訪問後、初めて迎えた島根県の「竹島の日」行事の時から、日本の中央政府は高官を派遣するようになった。

 李明博元大統領による”不必要な反日イベント”が事態を悪化させ、今日まで続いているわけだ。「竹島の日」だけでない。その前後には、首都の東京市内に竹島領有権を主張する展示館が発足し、日本の教科書にも竹島領有権と関連した内容が追加された。この全ての原因はやはり韓国側にある。

 韓国さえ黙っていれば、何ら問題が無かったはずなのに、韓国は相手が日本であれば「黙っていること」が出来ない。何の得も無いのに独島周辺で実弾射撃訓練をし、年中、各種の政治家と芸能人による騒がしい独島イベントを続けるのは、日本を刺激して反発心と復讐心だけをもたらしている。

 毎年8月15日(光復節:日本統治からの解放記念日)の、韓国の国会議員らによる独島への集団訪問、万歳三唱イベントのような騒がしい行事もまた、独島に何の関心も持っていなかった大多数の日本国民の耳目を刺激するのに十分な起爆剤の役割を果たすようになった。

 耳目が開かれた日本国民はついに日本の中央政府に向かって「韓国がやらかしているのに、日本政府は何をしているのか?」というような不満を当然提起するようになった。結局、日本政府としてもやむを得ない状況に追い込まれたのだ。故に日本政府は竹島領有権を主張する展示館も作り、教科書に日本の領有権主張の内容も追加する措置をとることによって、日本国民の不満(政府は一体何をしているのか?)をなだめるよりほかになくなった。

 このように韓国と日本がお互い強硬姿勢で衝突すれば、次第に激しい対立状況へと陥り込むよりほかなくなり、最終的には日本政府による国際司法裁判所への単独提訴と、それによる独島紛争の国際的なイシュー化に至る。韓国が最も嫌がる状況の展開となるわけだ。

 韓国さえ黙っていれば、独島には永続的に何の問題も無かった。ところが韓国が自ら怒りを抑えられず、平素から何の問題も無い独島をまずイシュー化したために、常に騒がしく対立が絶えない。韓国さえ黙っていれば、日本はせいぜい防衛白書という国内用の報告書に一年に一度、独島に言及してやり過ごす水準で終わっただろう。

 したがって大多数の日本国民は独島に関心も無かっただろう。そうなれば、島根県の行事もそもそも生み出されなかったり、生み出されたとしても自治体行事としてのみ静かに済まされていただろう。

 独島に対する正しい対応は現実を直視することから出発する。そうするためには正直になるべきだ。公式的には我々韓国人が「韓日間に領有権紛争は存在しない」と宣言はするとしても、裏面においては事実上、領有権紛争状態であることを認めて対応すべきだという話だ。

 理論上、領有権紛争が存在しない状態というのは、相手が異議を提起しない状態だ。ところが日本は異議を提起している。そしてこのような日本の主張を確実に終息させ得る決定的な証拠を韓国は提示出来ない状態だ。であれば独島は「事実上」領有権紛争状態だということになる。米国などの主要な諸国も、独島を領有権紛争状態だと理解しているのは否定できない現実だ。

 韓国が独島を実効支配していて、無理に現状変更をしようとしないおとなしい相手(日本)は独島にそれほど執着しない状態であった。この状態であれば、我々韓国側さえ黙っていれば、何の問題も無かったのだ。

 ところが我々韓国人は相手の形式的な要式行為(白書に一行表記)さえ耐えられず、その都度、怒り心頭に発して政府と国民の皆で大騒ぎし、既に占有している独島に興奮して来た。その結果、この有様となったのだ。

 現在の韓国の姿は、問題無く懐の中に納まっている金塊をわざわざ取り出して相手の前に持って行ってしきりに振りかざし、「悔しいだろ?悔しければ、さあ奪って見ろ?」と言う風に、絶え間なく相手の自尊心を刺激して、復讐心を誘発している最中だ。こんな風であれば、相手も感情がある存在なのに、果たして今後、相手が以前のようにやすやすと黙っているだろうか?

 韓国が独島を扱うやり方を見ると「寝た子を起こす」という諺の典型に該当する。であれば望ましい対応方法は何か?答えは遠くにあるのではない。実効支配する尖閣諸島に関して日本が中国をどう扱っているのか見ればよい。

 実効支配出来ない中国はどうにかしてでも尖閣問題を国際的に本格的な紛争地域化しようと年中必死の努力をする。しかし日本の対応は最小限の受動的対応のみをするだけで、事実上、無関心一辺倒だ。

 万が一、日本が韓国のように行動したならどうだろう。首相が尖閣諸島を訪問し、国会議員らが集団で尖閣諸島に上陸して万歳三唱を叫び、日本の芸能人など、あらゆる有名人らが年中、尖閣諸島に押しかけて各種のイベントを展開したならば?

 そうなれば中国は「上手くいった」と言ってこれを口実に激烈に日本に抗議をして、同等水準の対応(中国側も尖閣諸島に上陸を試みる等)で出て来ると同時に、中国が望んでいた本格的な紛争地域化へと引っ張って行っただろう。

 韓国はもう少し現実を直視する必要がある。万が一、相手が日本でなく、中国であったならば、今頃、独島はどうなっていただろうか?十中八九、経済報復などを前面に押し出した中国による粗暴な圧力と物理的な攻勢(中国海軍による武力挑発や上陸の試み)など、あらゆる圧力に耐え切れず、今頃、独島は(東島と西島で)半分ずつ中国と分けて管理することで決着した可能性も排除できない。

 韓国はそれでもまだ相手がおとなしい日本であったことを幸いと思い、問題がより大きくなる前に、何ら得るものも実利も無く副作用をもたらすだけの行動(各種イベントなど)を今後控えるべきだろう。

 これが現時点において、独島を扱う最も賢明な方法だ。もちろん「日本に対して黙っていること」自体が韓国人においては最も成し遂げるのが難しく、苦しみに満ちたものに該当するのだろうが…。

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

※ファンドビルダー氏:ソウル出身。高麗大学卒。韓国人が幼い頃から学び、聞き、見てきた日本関連情報の大部分が歪曲(わいきょく)、誇張、捏造(ねつぞう)などで汚染された状態であることを残念に思い、真実を知らせる趣旨でコラムを書いている。慰安婦、徴用、外交・安保、経済など様々な分野を扱う。

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