「洪水警報にも車両規制はなし」ゴールデンタイムを逃した人災=韓国(画像提供:wowkorea)
「洪水警報にも車両規制はなし」ゴールデンタイムを逃した人災=韓国(画像提供:wowkorea)
16日午前11時基準、9人の死者が発生した、いわゆる「韓国チョンジュ(清州)オサン(五松)地下道惨事」について、不十分な行政対応が問題視されている。事故発生の2日前から一帯の集中豪雨により、近隣のミホガン(美湖江)に洪水警報が発令され、一帯浸水が予想された状況で、事前堤防管理と車両進入規制がされていなかったためだ。

16日、韓国行政安全部中央災害安全対策本部の豪雨対処状況報告によると、現在まで死亡者33人と行方不明者10人など、43人の人命被害が発生した。特にチュンチョンブクド(忠清北道)清州市フンドク(興徳)区五松の地下車道では、バスなど合計15台の車両が浸水し、事故発生から二日目で死者が9人に増えた。

気象庁や消防当局などによると、今回の惨事の原因となった美湖江一帯清州地域には、13日から梅雨前線の影響でたくさんの雨が降り、15日午前4時10分、洪水警報が発令された。この一帯の三日間の降水量は433.4mmに達する。大雨により河川水位が急激に上がり、同日午前6時30分にはすでに警報水準より高い「深刻水位」まで到達した。

これに当時、クムガン(錦江)洪水統制所は管轄区庁に、近隣道路車両進入規制などが必要だと伝達したと伝えられた。しかし、緊迫した状況の中でも、該当地方自治体など行政庁の交通統制と堤防管理が行われておらず、約2時間後の15日午前8時40分ごろ、美湖江臨時堤防が崩れ、流れ出た河川水が地下車道に流入した。わずか2~3分と短い時間で、全長約430m、高さ4.5m規模の地下車道は6万tほどの水でいっぱいになった。

今回の五松地下道惨事は、豪雨と浸水が十分に予想された状況で「ゴールデンタイム」を見逃し、阻止できなかった「人災」であるという指摘が続く。併せて臨時堤防管理も虚偽したという住民の主張も続いている。

当時事故現場で救助されたある市民は「バスや乗用車などが周辺に多かったが、地下車道も前後から水が入り、その水位が急速に高まった」とし「浸水が予想されたときに地下道も進入路を予め防いでいれば、このようなことは発生しなかったはずなのに、なぜ統制ができなかったのか理解できない」と吐露した。

犠牲者の遺族らと行方不明者家族も、素早い行政的対処があったら、惨劇を十分に予防できただろうと怒りを露わにしている。近隣の村の住民らも、大雨の状況下でパワーショベルが掻き集めた砂で、臨時に土手の補強をおこなったが、結局氾濫したものだと口をそろえる。

スンシル(崇実)大学災害安全管理学科ムン・ヒョンチョル教授(行安部中央災害管理評価委員)は「2003年から施行した災害及び安全管理基本法(災害安全法)に、災害の予防・退避・対応・復旧に関する4段階の過程など災害管理システムを明確に規定した」とし「今回の災難は、管轄地方自治体長などが、緊急通行禁止・制限と緊急避難命令を発令すべきであったが、それをおこなわず明らかな違法であり、職務放棄による人災」と指摘した。

指摘が相次ぐと忠清北道は「洪水警報が発令されても、道路状況などを把握し車両規制することになっている」とし「今回の事故は、堤防が氾濫して短時間に多くの水が流れ出たため、車両規制する時間がなかった」という立場を明らかにした。

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