<W解説>韓国の「犬食文化」は今後どうなる?=愛犬家の尹大統領夫人が問題解決に意欲(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国の「犬食文化」は今後どうなる?=愛犬家の尹大統領夫人が問題解決に意欲(画像提供:wowkorea)
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領のキム・ゴンヒ(金建希)夫人が、「犬肉食用禁止」をめぐる論争に再び言及した。尹氏と共に愛犬家として知られる金夫人は、今月開かれた動物保護団体の関係者を招いた昼食会で尹大統領の任期中に犬肉の食用の禁止を目指す考えを示した。金夫人は昨年6月にもソウル新聞のインタビューでも、「経済力がある国のうち、犬を食べるのは韓国と中国だけ」とし、「究極的に犬肉を食用にしないということは、人間と最も近い友達への尊重の表れであり、命に対する尊重を意味することだ」などと主張していた。

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韓国には犬食文化が根付いている。滋養食として犬肉を煮込んだ「ポシンタン(補身湯)」が有名だ。7~8月にかけては、日本の「土用の丑の日」にあたる「ポンナル(伏日)」が計3日あり、補身湯や「サムゲタン(参鶏湯、鶏肉を使った滋養食)」を食べる習慣がある。

しかし、最近は若者を中心に犬食を敬遠する人も多く、犬食文化は薄れつつある。犬を食用とすることに異を唱える人も増加している。「犬食用問題の議論のための委員会」が昨年に全国の18歳以上の男女1514人を対象に行った意識調査では、「犬食文化を継承すべき」との回答は28.4%にとどまった一方、「犬の屠殺(とさつ)の合法化に反対」との回答は52.7%に上った。

かつて韓国には犬肉を食用として販売する店が連なる犬肉3大市場として、南東部・テグ(大邱)の大邱チルソン市場と、ソウル近郊のキョンギド・ソンナム(京畿道・城南)のモラン(牡丹)家畜市場、南部のプサン(釜山)のクポ(亀浦)家畜市場があったが、現在残っているのは大邱チルソン市場のみだ。

昨年8月の伏日に、複数の動物保護団体で構成する「動物圏対国民連帯」は犬肉市場の閉鎖を求めて大邱チルソン市場でデモを行った。「動物圏対国民連帯」のメンバーは「犬の食用は人権蹂躙(じゅうりん)。撤廃すべき」と声を上げた。

韓国で犬肉の食用が議論になったのは、一昨年9月、愛犬家として知られ、在任中、大統領府の公邸でも犬を飼っていた当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が「犬の食用禁止を慎重に検討する時期」との考えを示したことがきっかけだった。

当時、犬を保護すべきとする動物保護団体と犬食業界の団体の間で主張は真二つに分かれた。文氏が犬の食用禁止を検討するよう指示したことに畜産業団体「大韓育犬協会」の幹部は、出演した当時のラジオ番組で「非常に悲しい。大統領が妄言を吐いたといえる」とし、「犬食はキムチのようにグローバル化することができる」と訴えた。一方、動物愛護団体「動物自由連帯」の代表は、「大統領が犬の食用問題に関心を持って下さったことを歓迎する」とした上で、「人間によって犠牲になる動物の数を減らしていくべきであり、既に高カロリーが問題となっているのに、犬まで食べなければならないのか」と述べ、犬食文化に異議を唱えた。大韓育犬協会の幹部が示した「ペット用と食用を別で管理する」という提案には、「現場では、その境界があいまいになっている。食用で育てようがペットとして育てようが同じだ」と反論した。

政権が変わり、文氏と同じく愛犬家として知られる尹錫悦大統領は大統領選の候補者時、犬の食用自体には反対の立場を示すも、法制化については「個人の選択の問題」として不要との考えを示した。また、昨年6月には、夫の尹氏とともに愛犬家で知られる金夫人がソウル新聞のインタビューに「(尹政権で)動物虐待と捨て犬の問題、犬食問題で具体的な成果が出るよう望む」とし、犬食問題に関して「零細な食用犬業界に業種転換に向けた政策支援をする方法もある。政策で解決できると考える」と踏み込んだ発言をした。

金夫人は、今月開かれた動物保護団体の関係者との非公開の昼食会でこの問題に再び言及。「犬肉の食用を尹政権の任期内に終息させるよう努力する。それが私の本分だと考える」と述べた。「終息させる」とは即ち犬肉の食用を「禁止とする」意志を示したものと受け止められる。

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