前日、ソウル市のヨンドゥンポ(永登浦)駅からチョルラブクト(全羅北道)イクサン(益山)に向かうムグンファ号の脱線事故の影響により、この日もソウル駅と永登浦駅の一帯がひどく混雑した。この区間を結ぶKTXはもちろん、ソウル地下鉄1号線キョンイン(京仁)線急行列車の一部区間の運行が中止され、出勤時間帯に大混乱が発生した。イテウォン(梨泰院)での圧死事故からわずか10日で、市民たちは「地獄の鉄道」に身を預けて事故の心配をする他なかった。
同日の午後3時ごろになってもソウル駅の状況は変わらなかった。駅の内外ではスマートフォンや列車案内の電光掲示板を見つめたり、時間をつぶす人であふれた。
乗車券の払い戻しのため、窓口には40人から50人の人々が並んでいた。列に並んでいた大学生のソさん(27)は、「もう30分も並んでいる」と話し、「乗車券の払い戻しにもこんなに時間がかかるなんてあり得ない」と不満をぶちまけた。プサン(釜山)行きのKTXを予約していた金さん(74)は駅員に「乗車できないままお金を受け取るつもりか」、「食事を提供するか、または水を提供するなどしなければならないのではないか」と激昂(げきこう)していた。
30代の会社員のAさんは「今日ヨス(麗水)に出張に行こうとクァンミョン(光明)駅に午前11時に行ったが、午後2時38分ごろに案内放送が流れて2時間遅れると聞いた」と語り、「駅員もいないし案内がなかったことも不満だ。これから飛行機に乗って行かなければならない状況だ」と話した。
先立って午前にはクロ(九老)駅で出勤途中の混乱が発生した。1号線キョンイン(京仁)線の急行列車の九老駅からヨンサン(龍山)駅間の運行が中止されたためだ。九老駅はスウォン(水原)や光明から出発した1号線の乗客が乗り換える駅でもある。ブピョン(富平)駅からソデムン(西大門)に出勤する30代の男性Aさんは「普段人が多くてもここまでではなかったが、急行が運行されず地下鉄が満員の状態」と話し、「梨泰院での惨事の記憶が残り、密集状態が心配で怖かった」と語った。
シンドリム(新道林)駅でインタビューに応じた金さん(34)も、「今日はKTXの脱線事故によりで1号線が地獄のようだった」と話し、「普段は人が多いと言ってもこれほどではなかったが、急行がストップしているせいか、あまりにも人が多くて梨泰院でのことを思い出して心配になった」と吐露した。続けて「こんな中でも出勤時間を守ろうとして無理に乗ろうとする人もいて、車内の人たちが悲鳴を上げていた」と伝えた。また別の金さん(64)は、「1号線に乗って来たが、後ろから押され続けて腰が痛くなった」と訴えた。
梨泰院での惨事を経験したばかりの市民からの通報も相次いだ。警察によると、この日の午前8時13分ごろから午前9時までに、1号線のケボン(開峰)駅、九老駅、新道林駅付近で事故の危険を訴える通報が計12件入った。通報内容は「息が詰まる」、「混雑しているから規制してほしい」などだった。これは梨泰院での惨事直前に行われた通報内容と酷似している。
この後警察と消防が出動し、現場は人命被害なく事態が収拾した。警察の関係者は「開峰駅は本来乗降客が少なく閑散としているが、特急列車を降りて乗り換える人が瞬間的に集中した」と述べ、「午前9時ごろに人が半分程度に減った」と説明した。
当時、新道林駅にいたチョンさん(77)は、「梨泰院での事故の後、地下鉄の駅でも安全のため人員を増やして秩序を維持すると言っていたのに」と話し、「安全だと信頼できない」と語った。
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