▶危機の大学…新入生未達4万人↑vs入学生50万人↓
今年の韓国における全国大学新入生未達人数が過去最大の4万人を超えた。韓国教育部によると、今年の全国大学の新入生不足者数は4万586人で、昨年(1万4158人)の3倍に達した。現在の状況が続けば、2024年には全大学が定員割れとなり、全新入生の41.9%が首都圏の大学に入学するという見通しも出ている。
一方、今年の4年制大学や短期大学の入学者数は48万7532人で、昨年(52万4260人)と比べると3万6728人が減少した。これは1996年以後、最も低い記録であると同時に、2000年以後初めて4年制大学や短期大学へ入学者数が入学生が50万人を割った。
現状が続くと、2033年の大学入試以降は大学に入学する学生が急激に減少するものと見られ、大学の入学定員の調整や大学の競争力強化が急務だという指摘が出ている。
韓国教育部は学齢人口の減少の中で大学定員の削減が必要だと見て、大学構造調整に本格的に乗り出している。来年3月までに全国の大学が定員を自主的に減らす計画を提出するようにし、2023学年度から全国5つの圏域別に定員充員率などを参考にして入学定員を減らし、首都圏と非首都圏いずれも構造調整を行う方針だ。また、財政状態が悪化している限界大学は3段階是正措置後に閉校する、いわゆる“三振アウト”制度を導入することにした。
韓国教育部は大学が競争力を強化し、学齢人口減少の危機に対応できるよう支援する内容を第3期人口政策TF課題として盛り込んだ。
このため、まず大学を限界大学や自律革新大学に分類し、来年上半期に政府財政支援制限大学を指定する。各大学に定員削減を勧告する一方、自律革新大学は各自の環境と戦略によって自律革新を推進する方針だ。あわせて、大学の財政指標を分析して経営危機の程度を把握する財政診断を通して大学別の特化に合わせた体系的管理を推進することにした。これにより、限界大学の構成員を保護しながら、円滑な解散および清算が行われるよう支援する計画だ。
この他にも、韓国教育部は地方大学の革新及び競争力強化のため、自治体と大学間の協業を中心に地域革新を推進する「自治体-大学協力基盤地域革新事業」を従来の4プラットフォームから2022年には6プラットフォームに拡大する。また、地域別の条件に合わせたさまざまな高等教育革新を推進できるよう、高等教育分野における規制特例を適用する「高等教育革新特化地域」も12月末に指定・発表する予定だ。
▶日米両国、限界大学に指針作成…英は「大学間統廃合」
米国は韓国と同様、私立の高等教育機関が全体の60%以上と私立の高等教育機関の規模が大きい。特に、非営利私立4年制大学の収入の授業料収入は30~40%に達し、大学入学生の減少が授業料収入の減少と財政損失を誘発する要因となっている。
日本も同様に、人口減少や深刻な高齢化により、早くから大学経営の危機に中央政府や地方自治体が注目してきた。日本は私立大学が全体高等教育機関の54%を占め、定員割れの私立大学が全体の35%に達し、政府レベルで私学助成基金を支援してきた。英国はまだ留学生が多くの割合を占めており、学齢人口の減少よりは大学競争力確保のための大学間統廃合政策を進めている。
韓国教育開発院の報告書「学齢人口減少に伴う限界大学の対応策研究」によると、これら3カ国の共通点は大学が財政難を経験し、政府レベルでこれを克服するための対策を講じていたという点だ。特に授業料に大きく依存する私立大学の割合が高い米国と日本の場合、限界大学に対する法的、制度的政策と詳細な指針を設けている。
日本は、政府が経営不振や再生に対する段階別措置を取っている。廃校については、遵守すべき詳細な指針を示している。また、英国では歴史的に長い間存在してきた大学間、学科間の統廃合を通して大学の競争力を確保している。
韓国はこれら3ヵ国に比べると短期間で限界大学、経営難の大学および廃校が発生しているが、これに対する対策は相対的に不十分だという指摘が出ている。
日米英3ヶ国では大学自律性に基づいた高等教育機関の再生に焦点を置いているのに対し、韓国は政府が設定した評価指標に達していない大学に対して経営不振の責任転嫁及び淘汰志向中心の政策を施行しているからだ。
限界大学の「退出」よりは「回生」志向的な措置を取ったという点もこれら3ヶ国の特徴だ。
日本や米国、英国は高等教育機関を単なる廃校や清算の対象とせず、社会的資源として活用できるように可能な限りの努力していた。同時に政府が介入して構造調整と回生を支援するが、大学の自律性を最大限保障しているという点も共通点だ。米国は各地域別認証評価委員会などが廃校・統廃合などに必要なガイドラインを作って提供し、日本は私立学校振興・共済事業団、学校法人運営調査委員会などに関連手続きと業務を委任して推進している。
すべての国の廃校と統廃合、合併において学生保護を最優先にしているという点も注目に値する。米国は閉校時に大学情報を公開し、学資金融資免責および返還などの制度で学生を支援している。日本は閉校の際に学生の転校や学籍記録の保存などの措置を取っている。
法に基づいた高等教育機関の退路が設けられている点も似ている。
日本は大学の遊休資産に対して、贈与や譲渡など法律的検討を通してその価値を保存・活用できる法的根拠が設けられている。また、米国は連邦破産法によって、日本では民事再生法によって退出または自発的退路を選択した大学が安定的に清算と解散ができるような制度的基盤が整っている。
韓国教育開発院のソ・ヨンイン研究責任者は、「米国と日本の場合、大学が持続的なリスク管理に自発的に対応せず、学生と地域社会の問題になる場合には政府が強力な対応を勧告しているが、それまでは該当機関の自律的な措置を誘導している」と述べた。また、「各大学が自ら持続可能性などを点検して自発的に対応できる装置を制度化することが限界大学問題に対処する第一歩になるだろう」と助言した。
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