チョンセ詐欺対策に悩む政界…拙速対策を懸念する声も=韓国(画像提供:wowkorea)
チョンセ詐欺対策に悩む政界…拙速対策を懸念する声も=韓国(画像提供:wowkorea)
多額の保証金を一括で預け入れる賃貸方式「チョンセ(伝貰)」で詐欺にあった被害者の救済のために、韓国の与野党は4月中に関連法の制定を目標に協議を開始した。常任委員会で審議中の法案や、最近発議された特別法、政府の対策法などを速かに審査し27日本会議に上程する。

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 与野党は来週初めまで関連の協議を続ける予定で、合意された場合には通常の法案審査手続きも省く見通しだ。一方で、被害者の救済策を協議することに消極的だった政界が後手に回り無理しているとし、「拙速な対策」を懸念する声が上がっている。

 国民の力・共に民主党・正義党の政策委議長は21日午前、国会で会い、チョンセ詐欺対策を話し合った。27日に開かれる4月臨時国会の最後の本会議にチョンセ詐欺対策法案を上程する案について協議した。

 初会合の結果、与野党は被害者に対する地方税の減免法制化に合意した。パク・デチョル(朴大出)国民の力政策委議長は会合後、「被害者に地方税で執行できることについて、免除することから法制化すること(正義党の提案)に、私も民主党のキム・ミンソク(金民錫)議長も同意した」と明らかにした。

 ただし、残りの法案をめぐっては意見が分かれた。国民の力は政府のチョンセ詐欺対策後続法案の中で、常任委員会で審議され未処理になっている民間賃貸住宅法・公認仲介士法(計3件)・鑑定評価士法をまず本会議に上程しようと提案した。しかし、民主党は総合対策を準備するために、政府案も一緒に協議することを求めた。

 政府と与党が提案した優先買収権(優先買収請求権)は民事執行法改正事項で、法務省の管轄だ。チョンセ詐欺の被害者に優先買収権が与えられれば、チョンセ詐欺にあった住宅が競売にかけられた場合に、最高価格入札者が記載した金額で、被害者が優先的に購入できる権利を持つことになる。現在、優先買収権は共有持分者にのみ付与されている。

 政府は、政府で立法するより時間を短縮できる議員立法を通じて、改正案を推進するものとみられる。

 与党は与野党の院内代表の合意を通じて、手続きを大幅に短縮する方針だ。与党指導部のある議員は「24~26日に協議を実施し、27日に優先処理が可能だ」と述べた。

 ただし、拙速の対策を懸念する声も出ている。先に政府も、優先買収権が落札者の権利を侵害しかねないという点で、慎重な審議が必要だという意見を党に伝えたという。ある国会関係者は、「チョンセ詐欺の被害者に対する優先買収権の適用に、日没制を適用するかなども鍵になる。十分な協議が必要だ」と述べた。

 一方、こうした政界の動きに対して、韓国日報は22日付の社説で、「与野党は超党派的な被害者救済策を模索し、具体的な立法を急ぐ必要がある。チョンセ詐欺により、庶民と若者たちが人生を諦めざるを得ない悲劇が続く限り、与野党の総選挙対策も無意味なことだ」と指摘した。

 ハンギョレ新聞も21日付の社説で、「少なくとも被害者がその家に引き続き住める道を開き、一部の被害額を緊急救済し、検討する案なども用意すべきだ。まだ起こっていないだけで、チョンセ詐欺は今後も起こり得る。今回、十分に検討し処理すべきだ」と政府に要求した。
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