チョン・ジニョン=3日、ソウル(聯合ニュース)
チョン・ジニョン=3日、ソウル(聯合ニュース)
韓国映画『梨泰院殺人事件』はやや特異なミステリーだ。1997年4月にソウル・梨泰院のハンバーガーショップで発生した殺人事件を取り上げており、在韓米軍が絡むために反米につながりかねないことに加え、殺人という素材で強いジャンル映画になる可能性もあった。しかし、映画はフィルターごしではない登場人物の姿を描きながらも、あくまで客観という枠組みからははみ出していない。ホン・ギソン監督は明快に語る代わりに、一定の距離を保った。
 
主人公パク・テシク検事を演じた俳優チョン・ジニョンは、このように淡々としたところに引きつけられた。出演オファーが来ると迷いなくパク検事を引き受けた。

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映画封切りを控えるチョン・ジニョンに、ソウル市内のカフェでインタビューした。彼はこの作品を「飲んでいる時はよくわからないが、うちに帰るなり倒れこんでしまうマッコリのような映画」と紹介する。見終わると妙な余韻が残るためだ。映画が終わってもどこかすっきりした感じがせず、最後に犯人ではなく被害者の顔を見せるのは一体どういう意図なのか、スリラー映画らしくジャンル的に迫っていかないのはなぜなのかなど、疑問は尽きないという。

また映画のタイトルだけを見ると、米軍基地に接する梨泰院という空間、そこで起きる殺人事件のため、反米映画というイメージも与える。ところが反米映画でも全くないのたどいう。チョン・ジニョンは「トイレに立ったところ理由なく死んでしまう故人、楽しむために人を殺す犯人、事件を捜査する検事、そして遺族、彼らのおかしな集結について語っている点が興味深かった」と話す。さらに映画にはいくつもの対立構図があると説明した。弱者と強者、不確かな容疑者と明瞭な容疑者、傍観と告発などで、こうした対立関係を積極的ではない方法で扱っているのがこの映画の長所だとした。
 
こうした雰囲気のせいか、登場人物はなかなか本音を見せようとしない。各自の内面の葛藤(かっとう)よりは、法廷での攻防など客観的な事実に焦点を合わせている。チョン・ジニョンも証拠や弁護人の発言に揺れる検事の姿を見せる一方で、内面的な葛藤は抑えて表現しなければならず、それは口で言うほど簡単ではなかった。「演技は論理的な命題を羅列するのではなく、感情を見せるもの。問題は感情を出してはならないという点だった。感情を出してしまうと映画のカラーが変になってしまうが、かといって感情無しで演じれば観客にうまく伝わらない」と、精巧さが求められた演技の難しさを語った。
 
若手俳優チャン・グンソクとは、映画『楽しき人生』(イ・ジュニク監督)以来2年ぶりの共演。チャン・グンソクをはじめシン・スンファン、コ・チャンソクも実にうまく演じたと褒めながら、彼らとの撮影は一緒に素敵な旅行をしたような気分だったと表現した。監督の選んだ旅行先も独特で、それが旅行の楽しさを倍増させたという。
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