細田守監督=5日、ソウル(聯合ニュース)
細田守監督=5日、ソウル(聯合ニュース)
数々のアニメーションの演出や監督を務める細田守監督は、『時をかける少女』で韓国にも根強いファンを持つ。「成長」をテーマに初恋のときめきを「時間」というキーワードでひも解いた同作品は、<第39回シッチェス・カタロニア国際映画祭>のアニメーション部門で最優秀長編作品賞を受賞するなど、数多くの映画賞を獲得している。

ジア の最新ニュースまとめ

細田監督は1999年に劇場版『デジモンアドベンチャー』でデビュー、これまで3本の長編アニメを手がけた。その3番目の作品『サマーウォーズ』の韓国国内封切りを控え訪韓した監督と、4日にソウル市内のホテルで会った。訪韓は3回目という細田監督は、「韓国は食事もおいしいし、湿気がなくて夏が爽快(そうかい)だ」と話した。
 
以下は一問一答。
―日本のアニメは世界的に有名だが。
日本のアニメは高く評価されているが、より多様な作品が出るべきだと思う。現在はSFや美少女が登場するアニメ、スタジオジブリによる作品に限定されている。ファンだけのためにアニメを制作するのではなく、より多様な価値観を盛り込み、普遍的に多くの人が楽しめる作品を作る必要がある。アニメは表現のジャンルではなく、一つに手段にすぎない。

―前作『時をかける少女』はマニアができるほど大人気を博したが。
韓国ファンに評価されて光栄だ。この作品が人気を博したのは、すべての人が共感できる部分、例えば未来を夢見る心、過去を悔いる心といったものが盛り込まれていたからだと思う。

―『サマーウォーズ』は素材からテーマまで前作とは異なるが。
構想の時からデジタルと大家族を比較して見せようとした。今の日本は核家族傾向にあり伝統の解体など多くの問題が発生している。そのため、現在の家族構成とは異なる大家族の姿を描きたかった。家族が力を合わせ、何かを成し遂げていく様子を映したかった。社会が変化しても変わらない価値は家族だ。

―アニメでは伝統的秩序とサイバースペースという仮想空間が衝突する。
サイバースペースを通じてグローバルなイメージを実現したかった。例えば、皆が楽しむ「ポップ文化」のようなものだ。技術が進化すればサイバースペースはわれわれの生活に密着するしかない。技術を日常生活に適用する過程では不安な側面もあるが、便利な部分もあり、二面的だといえる。このように2つの面を合わせ持って生きていくのは現代人の運命ではないかと思う。映画で現代技術の否定的な面を強調しようとしたわけではない。

―アニメに登場する「上田戦闘」や「武田信玄」などの歴史は韓国観客にはなじみがない。
それは日本人もよく知らない歴史だ(笑)。どんな国でも戦いなどに参加した家族や、先祖がいる。彼らのおかげで現在の困難に対処していける。われわれが持つ歴史、祖先の歴史が現在のわたしに力になればと良いと思う。

―アニメの長所は。
非常に単純でありながらも人の感情や心の状態をさまざまな方式で表現できるということだ。周期的な不況や度重なる混乱で、現代を生きていくのは非常に難しい。こんな時代にアニメが力になればうれしい。前向きな力を与えられるアニメを作りたい。

―どんなアニメが好きなのか。
日本のアニメも世界的に認められたジャンルだが、『ファンタジア』(1940)のような昔のディズニーアニメが最高だと思う。日本のアニメには昔のディズニーが持つ普遍的な美意識がない。これから日本もそんな美意識を作っていく時がきた。韓国も、普遍的な美意識に基づいたアニメを作れば世界市場で成功できるはずだ。

―韓国の観客に一言。
『サマーウォーズ』は子どもから89歳のおばあさんまで、全年代の登場人物がそれぞれ主人公の映画。家族一緒に手をつないで見てほしい。
Copyright 2009(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0