俳優チョン・ウソン
俳優チョン・ウソン
最近韓国では、「公約」が流行っている。政治界の話ではない。韓国映画界の話だ。「ファンや観客との公な約束」のことである。公開作品が一定の観客動員(興行収入)に成功すれば、出演俳優などは事前に公言したファンとの約束事項を守らなければならないのだ。

 2005年公開された韓国映画「私の頭の中の消しゴム」。その主演俳優のチョン・ウソンは、最新作「監視者たち」(キム・ビョンソ監督)の封切の際、「もし観客が500万人を超えたら、500万人目の観客とデートをしちゃいます。」と言い放っていた。韓国の人口が5,000万人ほどなので、韓国の全人口の10分の1がこの映画を見る場合の観客が500万人である。結構難しい数字だ。

 結果は、何と累計550万人。従って、チョン・ウソンは、「公約」を見事に実践している。共演していた「トンイ」のハン・ヒョジュも人気バライエティ「ランニングマン」で使っていた「名札入りTシャツ」をプレゼントする「公約」を果たした。

 11月28日、韓国で公開した映画「11時」(キム・ヒョンソク監督)の主演俳優であるチェ・ダニエルは、観客動員数が1,100万人を超えたらこの映画で共演しているキム・オクビンと付き合うという公約を掲げた。キム・オクビンは、2009年カンヌ映画祭で絶賛されていたあのパク・チャヌク監督の映画「コウモリ」の官能的なヒロインだ。

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 ただ、この公約は、映画のタイトルにちなんだ言葉遊び的な感じで、最近の「公約ブーム」を皮肉ったジョークであると言われている。にもかかわらず、ネット上では、この2人の交際可能性を分析するファンが現れるほどだ。

 また、同じく28日に公開された映画「チャンス」(イ・ドクヒ監督)の主演俳優イム・チャンジョンは、「300万人を超えたらファンたちと一緒に1泊2日の旅行に出ます。私の熱烈なファンの中には、1人でチケットを20~30枚は買ってくれる方もいらっしゃるので、絶対に守ります。」と意気込んだ。

 このような「公約ブーム」は、映画公開前の「儀式」のようなものになりつつあるのだ。先日公開された映画「結婚前夜」(ホン・ジヨン監督)の女優イ・ヨニ(「2PM」テギョンと共演)は、「500万人を突破したら、海雲台(プサンのビーチ)で“超ダサイダンス”を踊りまくります。」と宣言。

 また、「ノーブレッシング」(チョ・ヨンソン監督)の主演ソ・イングクは、「500万人になったら、生放送で水泳大会を開きます。」と発言したことに続き、「少女」(チェ・ジンソン監督)の女優キム・ユンヘも、「100万人を超えれば、学生服を着てファンとアイススケートをします。」と「有言実行」や「有限実行」を狙っている。

 しかし、このような「流行り的」な公約については否定的な意見も多い。 

 映画の作品性とは関係のないところでタダの「話題作り」のため、適当な公約を乱発していると、映画界のレベル低下につながる恐れがあるというのだ。同時に、「主演俳優と観客がスクリーンの壁を超えて、より身近に触れ合うことができる。今までになかったファンとの接点にもなる。」との評価もあり「賛否両論」が起こっている。

 一方で、この「公約ブーム」の火付け役となったのは、俳優のハ・ジョンウだ。彼は、2011年韓国の「百想芸術大賞授賞式」で、「もし私が『最優秀男子演技者賞』を受賞したら、韓国国土横断の旅に出ます。」とし、その結果、ソウルから海南(ヘナム)までの「577km」を歩ききった。当時、その映像をカメラに収めてドキュメンタリー映画にしたことも話題を集めた。このことが好評だったために、映画界の「公約トレンド」が巻き起こってしまった。

 業界内外から様々な意見はあるが、いずれにせよ、「公約」という言葉自体は観客を大切にしたいという出演者側の気持ちの現れであり、映画興行の主導権は観客が握っていることに変わりはないだろう。

 全人口の10分の1が見る映画が続出している国、韓国。テレビ、VHSビデオの時代を経てデジタル・ハイビジョン、DVD、BD、スマートフォンの時代のなか、あの時代の日本の映画館が懐かしくなる。



チョン·ウソン & ハン·ヒョジュ主演、映画「監視者たち」マスコミ試写会




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