チャン・グンソクが演じるテギルは実在の人物ではない(写真提供:ロコレ/韓国SBS『テバク』公式サイトより)
チャン・グンソクが演じるテギルは実在の人物ではない(写真提供:ロコレ/韓国SBS『テバク』公式サイトより)
『テバク』第4話が描いているのは、おそらく1713年の時期だと思われる。淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏が産んだ永寿君(ヨンスグン/『テバク』ではテギルになる)が生まれたのが1693年で、その20年後という設定になっているからである。

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■史実にはない「粛宗と李麟佐の対面」

 1713年が舞台になっている『テバク』第4話。この1713年というのは、史実ではどんな時期になっていただろうか。特に、『テバク』に登場する実在の人物がどう過ごしていたかを見てみよう。

 チェ・ミンスが演じている19代王・粛宗(スクチョン)は、1713年というと52歳になっていたが、まだまだ元気だった。当時は仁元(イヌォン)王后が正室だが、この王妃は『テバク』には出てきていない。

 ちなみに、粛宗が世を去るのは1720年で、1713年から7年後だった。

 チョン・グァンリョルが扮している李麟佐(イ・インジャ)は、1713年に何歳になっていたかは不明である。生年の記録が残っていないからだ。

 彼は1728年に反乱を起こして世に知られるが、歴史上に出てくるのは1721年以降である。それ以前の動向はよくわかっていない。

『テバク』第4話では、李麟佐が粛宗と碁を打つ場面が出てくるが、2人の対峙は見応えがあった。やはり、ベテラン俳優は演技に凄味がある。もちろん、史実で粛宗と李麟佐が対面することなどありえないのだが…。

 一方、粛宗に寵愛された淑嬪・崔氏はどのように暮らしていたのだろうか。


■酒と賭博が大好きな王子

 張禧嬪(チャン・ヒビン)が1701年に死罪になったあと、粛宗は新しい正室に仁元王后を迎えたが、側室だった淑嬪・崔氏は王宮から外に出されてしまった。このように、淑嬪・崔氏が冷遇されるようになったのは、粛宗が不信感を抱いたからである。当時、淑嬪・崔氏には他の男性との付き合いを匂わす噂があった。それが粛宗の怒りを買った理由に違いない。

 王宮の外で暮らすようになった淑嬪・崔氏。彼女の息子ヨニングンは、のちの1724年に即位した21代王・英祖(ヨンジョ)である。

 しかし、淑嬪・崔氏は息子が王になったことを知らなかった。1718年に亡くなったからである。享年48歳だった。

 生前は、息子の教育に大変熱心だったようだ。『テバク』第4話でも、淑嬪・崔氏がヨニングンの頬をひっぱたく場面が出てくるが、実際にも躾のためにそういうことがあったかもしれない。

 叱られていたヨニングンは、1694年の生まれなので、1713年というと19歳になっていた。『テバク』では酒と賭博が大好きなように描かれているが、もちろん、史実ではそういうことはありえない。王の後継者ではなかったが、王子として相応の格式で育てられていたのだ。

 なお、チャン・グンソクが演じるテギルは実在の人物ではないが、「実はわずか2か月で早世した永寿君だった」と設定しているのが『テバク』の核心である。まったくありえないことだが、「万が一、そういうことがあったらどうだろうか」と考えるのが韓国時代劇の面白いところだ。

 実在の人物と架空の人物がまじりあって、ストーリーがダイナミックに展開すれば、視聴者も見ていて楽しいだろう。


文=康 熙奉〔カン ヒボン〕
(ロコレ提供)

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