会議を主宰する金首相=13日、ソウル(聯合ニュース)
会議を主宰する金首相=13日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル13日聯合ニュース】朝鮮戦争当時の北朝鮮による韓国人拉致の真相究明に向けた初の政府レベルの活動が始まった。
 「6・25戦争(朝鮮戦争)拉北被害真相糾明(究明)および拉北被害者名誉回復委員会」は13日、ソウルの政府総合庁舎で委員長を務める金滉植(キム・ファンシク)首相の主宰で発足会議を開き、本格的な活動に入った。委員会はこの日、委員会運営規則などを議決した。金首相は「北朝鮮拉致被害の正確な真相を究明し、被害者と家族の名誉を回復することは国の責務だ」と強く述べた。

 同委員会は、「6・25戦争拉北被害真相糾明および拉北被害者名誉回復に関する法律」に基づき、首相所属の機関として設置された。外交通商部、統一部、国防部、行政安全部の長官と警察庁長、統一部長官の推薦を受け首相が委嘱した戦時拉致被害者の家族3人、民間委員6人の15人で構成される。朝鮮戦争中に発生した北朝鮮による拉致事件の真相調査、戦時拉致被害者と被害者家族の審査と決定、被害者と家族の名誉回復、被害者の生死確認・送還などに関する事項を審議し、議決する。
 一方、会議の後には統一部の玄仁沢(ヒョン・インテク)長官、国会外交通商統一委員会所属議員、戦時拉致被害者家族ら100人余りが出席するなか、事務局開所式が開催された。
 あいさつに立った玄長官は「拉致問題は決して過去の問題ではなく、南北関係の現実であり、わたしたちが必ず解決しなければならない課題だ」と強く述べた。また、政府は重い責任感をもって戦争中の拉致事件の真相を究明し、拉致被害者の名誉回復に最善の努力を尽くすと約束。この問題の根本的解決に向け努力を続けていくと強調した。

 戦時拉致被害者は「6・25戦争拉北被害真相糾明および拉北被害者名誉回復に関する法律」に基づき、朝鮮戦争中に本人の意思に反し強制的に拉致され北朝鮮に抑留または居住している韓国国民を指す。現役軍人と1953年7月の朝鮮戦争休戦協定締結以降の拉致被害者は対象から除外される。また、金銭的補償を受けた戦後拉致被害者とは異なり、国家災害の性格を持つ戦争中に拉致された戦時拉致被害者に対する金銭的補償規定はない。
 政府は、1950~1960年代に発刊された7種のリストに基づき、戦時拉致被害者は10万人を上回ると推算している。
 来年1月から、全国の基礎自治団体(市・郡・区)と在外公館150か所で拉致被害の届け出を受け付ける予定だ。委員会が法定調査活動期間の4年以内に真相を究明し、調査活動終了後6か月以内に真相調査報告書を作成する。また、調査完了の時期に拉致被害者の名誉回復に向けた各種記念事業を検討する計画だ。
 こうした真相究明活動を通じ、これまでは推定するにとどまっていた戦時拉致被害者の数やリスト、被害状況などが明確になると期待される。ただ、戦時拉致被害者が確定しても、生死確認や韓国送還までの道のりは険しく、その過程は難航が予想される。北朝鮮側は韓国軍捕虜はもちろん、拉致被害者の存在をかたくなに否定している。
 統一部によると、政府は2006年から南北離散家族再会行事などを機に北朝鮮側に22人の戦時拉致被害者の生死確認を依頼したが、北朝鮮側は2人(死亡)について生死を確認しただけにすぎない。

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