ソウル市内のクーパン社屋=(聯合ニュース)
ソウル市内のクーパン社屋=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国ネット通販最大手クーパンから顧客3300万人分以上の個人情報が流出したことを受け、米ニューヨーク証券取引所で親会社の株が5%以上急落した。今回の問題が投資家の心理に否定的影響を及ぼし、株価の急落を招いたとみられる。

 米国と韓国ではクーパンのずさんな管理体制だけでなく、米国に本社を置きながら事業は韓国で行う同社の特異な運営構造と支配構造に対する批判の声が高まっている。

◇米証券取引所でクーパン株急落 創業者は巨額の利益手に

 ニューヨーク証券取引所で1日(米東部時間)、クーパンの親会社、クーパンIncの株は前日比5.36%安の26.65ドル(約4162円)で取引を終え、下げ幅は先月5日(5.94%)以来約1カ月ぶりの大きさとなった。

 この日は個人情報の大量流出が発表されてから初めての営業日で、クーパンのずさんな危機管理体制に対する問題提起と受け止められる。

 当初は数千件とされていた流出規模が7500倍に増えるとともに、外部からのハッキングではなく元社員の犯行であることが明らかになり、内部管理とモニタリング体制が正常に稼働していたのかという疑問と不信感がふくらんでいる。

 また、創業者であるクーパンIncのキム・ボムソク取締役会議長を巡る議論も再燃している。

 韓国系米国人のキム氏は議決権の70%を持つが、韓国国会の国政監査で証人として出席を要請されるたびに海外滞在などを理由に拒否している。 

 キム氏はクーパンのクラスB普通株を1億5780万2990株(持ち分比率8.8%)保有している。クラスB普通株は1株当たり29倍の複数議決権を持つ株式で、議決権を基準にするとキム氏の持ち分比率は73.7%に上る。昨年11月にはクラスB普通株をクラスA普通株1500万株に転換し、4846億ウォン(約513億円)を現金化した。

◇米国で寄付も韓国では責任逃れ 過労死など社会的問題も対応後手に

 問題は、クーパンが韓国での売上高が大部分を占め、韓国の消費者を基盤に成長した企業であるにもかかわらず、社会的責任と内部管理の面では米国法人で米上場企業であるという理由で責任を回避していることだ。

 クーパンIncの今年7~9月期の売上高は約13兆ウォンだ。年間売上高は昨年初めて40兆ウォンを突破し、今年は50兆ウォン達成を目前にしている。このうち大部分が韓国での売上高だ。

 キム氏は株式200万株を慈善基金に贈与したが、基金の大半は米国内で使われたという。

 また、キム氏はクーパンを実質的に支配しているにもかかわらず、米国国籍であることを理由に公正取引法上の「同一人」である「総帥」指定から逃れた。

 同一人の判断基準は昨年改正されたが、キム氏は例外条件にあてはまるとして総帥に指定されず、義務を免除されている状態だ。

 クーパンはこの間、韓国で事業を営む中でさまざまな社会的問題を招いたとして批判されてきた。

 なかでも物流センターなど配送労働環境の悪化や過労死問題、出店者に対する過大な手数料などが論争を呼んだ。

 クーパンは今年の国政監査で、経営陣が五つの国会常任委員会に証人として出席。物流子会社の退職金未払い問題を巡り、雇用労働庁の支庁長と担当検事が関係者を不起訴処分とするよう圧力をかけたとされる問題では特別検察官の捜査を受けることになったが、キム氏は国会の聴聞会や国政監査に出席せず、与野党議員から批判を浴びた。

 業界関係者は「クーパンはこれまで急激な売上高増加と物流インフラを基にプレミアム(利益)を得たのに反し、内部組織は未成熟な奇形的構造で運営されていることが問題点として指摘されてきた」とし、「今回の個人情報流出事態が端的な例」と述べた。

 今回の問題により、短期的には最大1兆ウォンと予想される課徴金や集団訴訟による損害賠償、会員の解約ラッシュなどで収益性が低下する可能性が高い。

 別の業界関係者は「クーパンは電子商取引(EC)市場の勢力図を塗り替えるほど急速に成長した分、ずさんな管理や責任経営の面でも速やかに改善策を見いださなければならない」とし、「今回の事故で企業価値と経営方式全般に対する再評価が避けられないだろう」と指摘した。


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